台湾、中国漁船から豚肉31キロ確認 アフリカ豚コレラ懸念で消毒処理

2019/05/08
更新: 2019/05/08

台湾の海洋巡視船は5月5日、台湾最北端の富貴角の沖18.7カイリ(約35キロ)の位置で、両岸境界線を越えた中国本土籍の漁船一隻を拿捕した。船内に立ち入り検査したところ、31キロもの冷凍豚肉を保管していた。大陸で蔓延するアフリカ豚コレラの防止のために、台湾防疫局検査員が消毒と廃棄処理を行った。

中央通信社によると、中国籍の漁船(約575トン)は台湾巡視船の停船命令を無視して逃げ去ろうとしたが、追跡して停止させた。不審に思った巡視員が、船内を立ち入り検査した。

海洋巡視隊の蘇振義副隊長によると、漁船には船長を含む11人の中国籍船員が乗船していた。3日午後に浙江省蒼南県から出港し、5日まで航行していたが、操業はしておらず、魚などを船内に保管していなかった。いっぽう、31キロもの冷凍した豚肉を積んでいた。

蘇副隊長によると、中国漁船の船長は、豚肉は乗船員の食用だと主張したという。しかし、中国本土ではアフリカ豚コレラが広範囲にわたり流行しているため、巡視員は台北の行政院農業委員会動植物防疫検疫局に調査を要請した。検査員は港で、中国船員と船舶を消毒し、豚肉は検査のため押収し破棄した。

蘇副隊長によると、中国漁船は台湾領海で操業するために、船体番号を不正に塗りつぶしていたため、両岸関係法に基づいて処罰を科す見通し。新北市の海洋巡視警察署は漁船員11人を調査するため、一時拘留した。

中国農業農村部は4月19日、海南省でアフリカ豚コレラの発生が確認されたと発表した。これで中国本土31の省、自治区、直轄市のすべてで発生が確認された。

日本農林水産省によると、アフリカ豚コレラは豚やイノシシに感染する致死率が高い伝染病。すでに国内で確認されている豚コレラとは異なるウイルス。有効なワクチンや治療法がなく、発生した場合の畜産業界への影響が甚大なことから、家畜伝染病予防法で「家畜伝染病」に指定されている。ダニの媒介や家畜同士の直接的な接触で感染する。人には感染しない。

日本でも4月2日、中国から男女が個人で持ち込んだ豚肉のソーセージ2点から、感染力のあるアフリカ豚コレラのウイルスが確認された。これを受け、農林水産省は同月22日から、海外から日本への肉製品の違法な持ち込みへの対応を厳格化すると発表した。

手荷物の中に、輸入申告のない肉製品などの畜産物が確認された場合、罰則の対象になる。家畜伝染病予防法により、輸入検査を受けずに畜産物を持ち込めば、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる。

(翻訳編集・佐渡道世)