米議会は6月5日、外資の上場企業について監査を強化する法案を提出した。可決すれば800以上の在米中国企業が打撃を受ける。
法案は、米国の株式市場に上場している外資企業は、3年以内に米国の監査当局に報告書を提出し、複数の財務情報開示要件を満たすよう要求している。もし、できなければ、証券取引所からの上場が廃止される。提案者はマルコ・ルビオ議員、トム・コットン議員ら7人。
米国証券取引所は長年、米監査機関が財務状況を審査できない中国企業の上場を許可し、米投資家からの資金調達を許してきた。
ワシントン・ポストの評論員ジョシュ・ロジン(Josh Rogin)氏は6月6日、「米政府はウォール街に中国問題解決のための圧力を加える」と題する記事で、米国証券取引所は中国企業を上場させて、米国投資家に「魅力的な」数字を示し、数千億米ドルの投資を許してきた。しかし、米監査当局は中国企業の財務諸表を審査することができない。
中国国内法によると、中国企業の帳簿や商業記録はすべて当局によって保管されている。国内で行われた審査の書類を外国に持ち出すことを制限している。
海外投資家にとって、中国企業への投資はリスクが非常に高い。もし、中国の会社の詐欺行為が発覚しても、これを追究し保障を求める権利はないためだ。
米トランプ政権の元首席戦略官スティーブン・バノン氏は3月、英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストのインタビューで、米政府は、株式市場における中国企業の参加を規制すべきだと提言している。同氏によると、中国企業の背後には、不透明な中国共産党の専制体制があり、企業の実態が把握できないという。
「ニューヨーク証券取引所とナスダック市場は、投資家と勤勉なアメリカ人から託された責任を果たしていない。恥ずべきことだ」と述べた。
米中経済安全保障委員会によると、2019年2月25日までに、ニューヨーク証券取引所、米ナスダック(NASDAQ)、米国証券取引所(NYSE American)の3つの主要取引所に上場している中国企業は合計156社。その市場価値は合わせて1.2兆米ドル(約130兆円)で、そのうち11社は、中国政府が30%以上の株を保有する国有企業。たとえば、駐豪石油天然ガス、中国石油化学工業、中国人寿、中国電信(チャイナ・テレコム)、中国東方航空、中国南方航空、華能国際、中国アルミニウム、上海石油化工、中芯国際(SMIC)、広州深セン鉄道など。
米国市場に上場する企業を監査する、米国公開企業会計監視委員会(PCAOB)は2018年、上場する外資企業250社については、監査状況と財務諸表を審査できないと警告していた。そのほとんどは中国および香港を拠点とする企業で、アリババ(阿里巴巴、Alibaba)や百度(バイドゥ、BAIDU)も含まれる。
監査強化法案の提出に際し、ルビオ上院議員は声明で「米国に上場する中国企業が、金融上の透明性および責任に関する規制遵守を拒否することは、もう許されるべきではない」と述べた。
(翻訳編集・佐渡道世)
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