香港デモ、取材陣に催涙弾 警察の会見に記者らヘルメット着用で抗議

2019/06/15
更新: 2019/06/15

国際社会では、12日、香港警察当局がゴム弾催涙弾を発射するなどして、デモ隊を強制排除したことに批判の声が高まっている。取材記者が威嚇発砲されたほか、棍棒で殴られるなどの被害をこうむったと訴えた。一方、国際人権団体アムネスティは、抗議者の頭部や眼部を狙うゴム弾の発射は国際法に違反していると指摘した。

催涙弾を発射する警官隊(李逸/大紀元)
鎮圧に当たっている警察官ら(ISAAC LAWRENCE/AFP/Getty Images)

香港警察当局は13日夕方の記者会見で、鎮圧に150発の催涙弾、数発のゴム弾、20発のビーンバッグ弾のほか、唐辛子スプレー、液体の催涙剤なども使用したと発表。11人の市民が警察官を襲撃したとして拘束された。15~65歳までの79人が負傷。うち12人が病院に搬送され、そのうち2人は重傷だという。

抗議者を拘束している警官(宋碧龍/大紀元)
香港警察当局は12日、立法会周辺で抗議デモを行う市民に催涙弾とゴム弾などを発射して鎮圧した(宋碧龍/大紀元)

 

香港警察当局は12日、立法会周辺で抗議デモを行う市民に催涙弾とゴム弾などを発射して鎮圧した(宋碧龍/大紀元)

米ラジオ・フリー・アジア(RFA)13日付は、頭部や眼部に傷を負った抗議者がいると報道。海外メディアが撮影した映像から、一部の警察官は近距離から催涙剤を噴射し、または抗議者の上半身を狙ってゴム弾などを発射したことが分かる。また、警察官に危害を加える行為をしていない1人の抗議者を20人以上の警察官が囲み、警棒で殴った場面もあった。

鎮圧で負傷した市民(大紀元)
鎮圧を中止してほしいと呼び掛ける香港市民(宋碧龍/大紀元)

記者会見で香港政府警務処(警察)の盧偉聡・処長は、12日の抗議デモを「暴動である」、抗議者は「暴徒だ」と改めて主張した。警官隊は「命の危険を感じ、仕方なく鎮圧に乗り出した」とした。

盧処長は、ゴム弾などについて「殺傷力の低い武器」だと述べた。記者が抗議者が頭部を負傷したことについて説明を求めたが、処長は「分からない」と返答した。取材記者も暴行を振るわれたことについて、処長は「私はいつも記者に礼儀正しく、優しいのです」と答えると、記者席から失笑が漏れた。

一部の報道関係者はこれに抗議するため、ヘルメット、ゴーグル、反射服を着用して記者会見に出席した。香港記者協会は記者から17件の被害が報告され、「記者の安全と報道の自由を侵害された」として着用を呼びかけた。

 

RFAによると、盧処長の発言に対して、国際人権団体、アムネスティ・インターナショナル香港支部の譚万基・総幹事は、「警察当局が過剰に武力を行使した。この非合理的なやり方は国際法に違反している」

譚総幹事は、ゴム弾やビーンバッグ弾を使用する際、抗議者の上半身を狙って発射してはいけないという国際規定があると説明した。

香港民主党は、12日の鎮圧は、1989年北京で起きた「天安門事件」の二の舞だとの声明を発表した。

(翻訳編集・張哲)