香港行政長官、「逃亡犯条例」の延期発表 撤回は否定

2019/06/15
更新: 2019/06/15

香港政府は、中国本土へ容疑者の引き渡しを認める「逃亡犯条例」改正案の審議の延期を発表した。

林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は15日に開かれた緊急記者会見で、20日に予定していた条例改正案の採択を延期することを発表した。

林鄭長官によると、親中派議員から、延期の要請があったという。さらに、条例審議を急ぐ要因となった、台湾で起きた香港人カップル間の殺人事件の容疑者について、台湾側は、改正案が成立しても容疑者の引き渡しを受け入れないことを明らかにしたという。容疑者は現在、香港で拘留されている。

このため、今回の立法会(議会)の会期中に、改正案の可決を急ぐ緊急性は「おそらく消えた」と林鄭長官は述べた。しかし、期限を設けず、改めて各界から意見を聞くとし、「決して撤回しない」と表明した。

条例について、「相当な議論」を巻き起こしていることについて、林鄭長官は「深い悲しみと後悔がある」と語った。

香港市民は、中国本土では司法が共産党政権の支配下にあり、改正案が採択されれば、「一国二制度」が崩壊するとして、強く反発している。9日には103万人が参加する抗議デモが行われ、ハンガーストライキや立法会包囲が続いた。12日、デモ参加者に対して、香港警察が催涙弾やゴム弾を発射し、強制排除した。香港警察によると、13日までに79人が負傷し、2人が重傷を負った。

香港メディアによると、武装警察による鎮圧の後、香港政府内部からも採択を慎重に扱うべきだとの声が上がっていたという。陳方安生(アンソン・チャン)元政務官ら元高官など27人は13日、連名で改正案の撤回を要求した。

記者会見で、一部報道のあった、中国最高指導部で香港を担当する韓正副首相との協議について、「どういう内容だったのか」と質問され、長官は非公開の協議についてコメントしないと述べ、「中央政府が今回の決定を支持している」と答えた。

(編集・佐渡道世)

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