米国会諮問機関の米中経済安全保障審査委員会(USCC)は20日、拡張する中国の軍事的野心に関する公聴会を開いた。専門家は中国軍の核心的問題は、指揮官の不在、兵士の現代化した機器の操作能力不足など、人材不足の問題だと指摘した。
中国の習近平主席は2017年、2035年までに国防と軍隊の現代化を基本的に実現し、2049年までに「世界一流の軍」を完成するという明確な目標を定めた。
公聴会に参加した、米国防大学中国軍事研究センター長フィリップ・サンダース氏は、中国軍が「世界一流の軍」になりえない最大の障壁は、人材の問題だとした。「ハード面、組織の問題は大きくない。しかし、彼らに共同作戦を率いる参謀、作戦指揮官がいるだろうか」
サンダース氏は解放軍の陸軍将校を例にあげた。将校になる前、彼らの主な活動は1つの軍区に限られていた。「広い見方を持っていないため、どのように全体の共同作戦を展開し、指揮するかを知らないだろう」と付け加えた。
中国共産党が掲げた「戦って勝つ」という攻撃的な軍事目標によると、共同作戦能力の強化は、中国の軍事改革の焦点になる。
しかし、中国の軍事改革のひとつの焦点は、共産党による軍の統制の強化だった。サンダースは、この共産主義に基づく軍のあり方が大きな問題になるとした。
「レーニン主義に基づいた部隊は党の上層部に服従的で、このような部隊が能動的に作戦を展開できるのだろうか」
さらに、よく訓練された、高度な教育を受けた兵士がいないことは、中国軍が「世界クラス」の目標を達成するためのもう1つの障害になるとした。
5月の米国防総省の中国の軍事報告によると、人工知能、高度なロボット技術、およびIT技術で大きく進歩した。同月、米シンクタンク・ランド研究所の国際防衛研究者ティモシー・ヘルス氏は、現代的な戦争には、技術的に相応した学歴、技術を満たしている必要があると解説した。
2016年のランド研究所の報告「中国軍の変化:人民解放軍の短期的な戦力評価」は、中国の軍事作家や海外のアナリストの分析から、中国軍の部隊の主要な弱点は、組織構造の欠陥によるものだとした。軍の人材は、効果的に任務を遂行するための必要な水準に達していない、と指摘している。
このなかで、将兵の教育水準の低さと技術の熟練度の不足が長らくの問題であるとした。ほかにも、心理面の管理の問題として、たとえば軍事規律の保守、安全保持、士気の保持、腐敗などの問題も抱えている。
特に、将来の戦争で重要な海軍、空軍、情報化主導の戦場の中で、中国軍の人員は、新たな作戦装備を調整し、それを実際の作戦能力に反映させる力が不足していると分析した。
(編集・佐渡道世)