チェコ政府は15日、8人の台湾籍容疑者に関して中国大陸への身柄引き渡し要求を拒否した。香港で起きた「逃亡犯条例」改正案に対する反対デモを受け、国際社会は被疑者の中国移送に慎重になっている。
今月8日、韓国政府は中国の要求を無視して台湾籍の容疑者22名を台湾に送還した。これに続き、チェコも8人の台湾籍の犯罪被疑者の引き渡し要求を拒否した。
同国のヤン・ハマーチェック内相はツイッターで、中国が身柄引き渡しを要求している被疑者に対して「補完的保護措置」を適用すると述べ、具体的な理由については明らかにしなかった。容疑者らの弁護人は、「身柄を引き渡せば、彼らが非人道的に扱われ、死刑になる恐れがあるとチェコ政府が考えたためだろう」と述べている。
今回、チェコ政府の措置により中国大陸への送還を免れた容疑者は、チェコ警察がインターポールの手配書に基づき、昨年1月にプラハで逮捕した台湾籍の特殊詐欺犯8名だ。中国政府は彼らが中国の公安や検察官を装い、オーストラリア在住の中国人女性に詐欺を働いたとしている。
台湾外交部はチェコ政府の対応に感謝を述べ、また政府関係者もメディアに対して「中国の台湾に対する横暴な行いに、国際司法の注意を引くきっかけになるだろう」と語っている。
またスウェーデン最高裁判所も先週、横領の罪で国際手配された中国籍の容疑者に関し、送還すれば迫害を受ける恐れがあるとして身柄引き渡しを拒否する決定をしている。
台湾政府の発表によれば、海外で特殊詐欺を働いた台湾籍の容疑者のうち650名が大陸に送還されたが、694名は台湾へ送り返されている。
台湾の黄名明警察局長は外国メディアに対して、「台湾では詐欺犯に対する刑が軽く犯罪抑止効果がないと思われているが、近年、刑法が改正され刑罰は重くなっている。今回の詐欺集団も台湾に送還されれば、5~7年の刑を受けるだろう」と語った。