米教育界、7年で中国など外国政府から100億ドル超の資金 世論形成に影響=NPO報告

2019/09/11
更新: 2019/09/11

米国教育省のデータを分析した非営利組織によると、米国の学術機関に6年あまりで、外国政府や関連組織から少なくとも100億米ドル以上の資金を受け取っている。外国政府が大学などを通じて米国の世論形成に影響を与えているという。

非営利組織(NPO)「クラリオンプロジェクト」は9月6日、米国教育省のデータを分析した報告書を発表した。それによると、資金源は主に中国、ロシア、カタール、サウジアラビア、イラン、パキスタンなどから。教育省は現在、これらの資金ルートを調査している。

クラリオンプロジェクトによると、スパイ活動、テロ、過激派と関連する政府関係の団体を通じて資金が提供されることもある。例えば、テロリストに繋がっているカタール財団は、2018年に3300万ドルを米ジョージタウン大学に寄付している。

また、ムスリム同胞団が、国際イスラム研究所(IIT)を利用して、研究者に資金提供していることを暴露した。

IITは米国に本拠を置き、独立した組織であるため、その寄付は、教育省の大学や短大への外国からの寄付の記録には含まれていない。

したがって報告は、記録のない場合も多く、表面化した数字は「氷山の一角に過ぎない」と実際の金額はもっと膨れ上がるとの認識を示した。

同報告は「中国」という項目で、共産主義国家である中国は、イラン、北朝鮮、パキスタン、さらにアルカイダ関連組織指導者ジャイシュ・エ・モハメッド氏を支援していると述べた。

中国共産党は、7年間で贈与や寄付といった形で米87の大学に計6.8億米ドルを渡している。

さらに、国の100以上の大学、500以上の幼稚園から高校までに設置された孔子学院および孔子課堂は、中国からの資金を受け取る窓口になっているとした。

2006年以降、中国政府は米国の孔子学院・課堂のために少なくとも1.5億ドル以上を寄付したという。これは2019年2月米上院国土安全保障小委員会の報告書で公開されたデータだ。

報告によると、そのうち25万ドル以上の寄付を受け取った大学は7割におよぶが、情報を開示しておらず、米国内法に違反している。

香港中文大学のウィリー・ラム教授によると、孔子学院は「中国中央宣伝部と統一戦線部からの専門家が、影響力のある米大学に潜入し、学者と学生の意見を形成する拠点にしている」と説明している。

2018年、中国宣伝部部長は、孔子学院と中国政府の資金を受けた文化センターは「われわれにとって好ましい国際環境を作り出すための国際的なプロパガンダ戦略」の一部であると明言した。

教育省の記録によると、中国軍と繋がりの強い中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)は、共同研究への支援などを名目に、米大学へ巨額な寄付金を送っている。ファーウェイ基金から資金を受けたのはコーネル大学、カリフォルニア大学バークレー校(UCB)、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、およびマサチューセッツ工科大学(MIT)など。

こうした献金を受け取ることによって政治的影響力が増強する懸念から、カリフォルニア大学バークレー校は昨年、ファーウェイの研究協力資金を受け付けないことを決定した。MITもまた、サイバーセキュリティに関する問題を理由に、中国のテクノロジー企業との関係を再検討すると声明を出した。

(翻訳編集・佐渡道世)