中国メディア、香港民主派の勝利を伝えず

2019/11/26
更新: 2019/11/26

11月24日に行われた香港区議会選挙では、民主派候補者が452議席のうちの8割以上を獲得して圧勝した。中国官製メディアは、選挙関連の報道で、親中派の惨敗や民主派の圧勝を報じなかった。中国人ネットユーザーはソーシャルメディア上で、「香港の区議会選挙の結果を見て、中国当局のプロパガンダに騙されたことに気づいた」と次々と声を上げた。

24日の選挙で、過去最多の294万人の有権者が投票した。民主派は388議席を、親中派が59議席をそれぞれ獲得した。香港市民は、今回の選挙を通して、香港への介入を強める中国当局と抗議活動に強硬な姿勢を見せた香港政府にノーを突きつけた。

いっぽう、国営の新華社通信電子版「新華網」の25日の報道は、「18の区議会を合わせた全452の議席が全て選出された」との内容にとどまり、民主派の大勝を伝えていない。同報道は、「過去5カ月以上の間に、香港をかく乱した暴力分子が外部勢力とともに、暴力活動を絶えず行い、エスカレートさせた」「数カ月の社会的混乱は選挙のプロセスを妨害した」と抗議活動を支持する市民を非難した。

共産党機関紙「人民日報」電子版は、新華網の記事を転載して報道した。

人民日報傘下の「環球時報」電子版は25日午前、社説を発表した。社説は、「建制派(親中派)の議席が大幅に減少した。民主派は452議席のうちの多数を獲得した。しかし、双方が獲得した実際の投票数をみると、その差は議席の差と比べて小さくなっている」と強調した。

中国国内の一部のネットユーザーは、中国版ツイッター「微博」で、「選挙の結果を見て、新聞や微博で報じられている香港関連ニュースの信ぴょう性を疑い始めた。われわれが見た報道は本当に真実であろうか」「CCTV(国営中央テレビ)のニュース番組の報道は毎日、香港警察への支持とか、香港市民が(抗議者による)暴力に反対しているとかを強調してきた。なぜ、選挙の結果が逆なのだろか?説明して」とのコメントを書き込んだ。

6月に香港の抗議活動が本格化してから、中国当局は、若いデモ参加者を「暴徒だ」や「テロリストだ」と中傷し、「暴徒が破壊行為を繰り返している」「暴徒が警官を襲った」「香港独立を図る連中だ」などと繰り返して宣伝し、抗議者を大量の催涙弾やゴム弾などを使って鎮圧した香港警察を擁護した。その一方で、多くの香港市民が平和的にデモ行進したことを報じなかった。中国当局は、本土の国民に対して、偽情報を操作して香港の抗議デモを「香港独立を狙った暴動である」との印象を植え付け、国民の民族主義感情を煽った。 

当局による洗脳に気づいたネットユーザーは、「私たちは、民主派のことやその政治的主張など、香港について多くの誤った認識を持っていると認めざるを得ない。今回の結果で、これらが全部明らかになった。誤った認識を根本的に見直さなければならない」と投稿した。

また、中国官製メディアが選挙結果を詳細に報じなかったことについて、「なんで今日は報道しないのか?民意でなければ、香港市民は大規模な抗議デモをするのか」「今日のCCTVのニュース番組がどう報道するのかを見たい!」との批判があった。

微博で香港警察を強く支持してきた若い愛国者「小粉紅(ピンクちゃん)」は、民主派の圧勝について、「傷心した」「大泣きした」「心臓が悪くなった」などと投稿し、強いショックを受けた様子を明らかにした。選挙の結果が当局にとって都合が悪いと判断したのか、中国当局は、ピンクちゃんらの投稿を検閲し削除した。

(翻訳編集・張哲)