1月11日に行われた台湾総統選では、与党・民進党の蔡英文総統(63)は、817万票と過去最多得票で再選を果たした。対中融和路線の最大野党・国民党の韓国瑜・高雄市長(62)の552万票を大幅に上回り圧勝した。専門家は、中国当局が今後、台湾政策を変更するのか注目している。
ポンペオ米国務長官は12日に声明を発表し、蔡英文総統の再選について「強固な民主主義制度の力強さを再び示した」などと祝意を表明した。これを受けて、英国、日本、オーストラリアを含む60の国の政府や団体が相次いで、蔡総統に祝意を表した。今回の総統選では、世界各国13の訪問団、107人の外国人学者が台湾を視察に訪れ、台湾総統選に対する国際社会の関心の高さが示された。
このなかで、中国外務省は各国が祝意を表したことについて「『一つの中国』の原則に反している」と強く批判し、「強烈な不満を表明し、断固反対する」「台湾独立勢力に誤ったメッセージを送らないでほしい」と述べた。
蔡英文総統が総統選で史上過去最多の817万票を獲得したことは、中国当局の台湾政策および台湾への介入が完全に失敗したことを意味する。台湾市民が、中国当局が唱える「一国二制度」に対してノーと明確に否定した。今後、中国当局が政策の方向性を修正するのかに関心が高まっている。
ドイツメディア「ドイチェベレ」中国語版1月12日付によると、米スタンフォード大学の台湾問題専門家、カーリス・テンプルマン(Kharis Templeman)氏は、中国当局が台湾への圧力を緩めて「将来4年間、蔡英文氏のことを放って置く」可能性があるとの見方を示した。理由は、中国当局は蔡英文氏が総統選で勝利したことよりも、副総裁に選出された民進党の重鎮である賴清徳氏を最も警戒しているからだという。賴氏は蔡英文氏と比べて、中国当局に対してさらに強硬姿勢を示している。「2024年の総統選では、賴氏は有力な総統候補者である」
テンプルマン氏は、中国当局はすでに次の総統選を見据え、「賴氏のライバルとなる親中派の政治家が次の選挙で勝つように、当局は懐柔政策を強化するのでは」と推測した。同氏は、当局のこの懐柔政策によって、馬英九・前総統が2008年の総統選で当選できたとした。
米の中国語テレビ放送「新唐人」の時事番組である「熱点互動」で、時事評論家の横河氏は11日、中国当局は「台湾政策を変更しないだろう」と分析した。
台湾では1996年から、総統直接選挙を開始した。横河氏は「過去の経験をみると、総統選で中国当局が嫌がらせや圧力を強めても、結果的に反中国共産党の候補者が当選するという事実がある。中国当局は、台湾を武力で統一するという基本政策をすでに決めている。この基本方針を変えることはまずない」と述べた。
同氏は、この方針の下で、台湾総統選の情勢を誤って判断した中国当局は「反省しない」「他人(他国)のせいにする」とした。当局は引き続き、台湾統一を目指して、台湾社会に対して「一国二制度」を推進していくという。
いっぽう、台湾の武力統一について、横河氏は「現在の中国軍にとって簡単なことではない」と指摘した。
「中国軍は1979年の中越戦争以降、大きな戦闘を経験したことがない上、軍の内部では腐敗や汚職が深刻化している。さらに、台湾に対して武力行使をする場合、台湾海峡は中国軍にとって最大の難所となるだろう」
(翻訳編集・張哲)
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