中国の「千人計画」、フロリダ議員が大学に対応呼び掛け

2020/01/17
更新: 2020/01/17

米フロリダ州選出のリック・スコット上院議員(共和党)は1月14日、同州の公立大学の学長に書簡を送り、中国から知的財産を保護する取り組みの詳細を提出するよう求めた。

議員のプレスリリースによると、議員は昨年12月3日 、大学学長に宛てた手紙で、研究者が中国の海外ハイレベル人材招致プログラム「千人計画」への参加の有無を調査したかどうか、また教員が外国の機関と不正な情報を共有したかどうか、調査結果を開示するよう求めた。

さらに議員は、スパイ行為が疑われる職員および教員に対して、大学がどのような罰則を設けているかを尋ねた。議員は今回の書簡での返答を大学に促している。

「共産主義体制の中国から情報を保護するためにフロリダ大学が対応していることに私は感謝を示したい。しかし、私はまだ他のフロリダの多くの大学からの返事を待っている」とコメントした。

議員は、中国共産党政権によってもたらされる脅威について説明した。「彼らは、地政学的および経済的目標を達成するために、戦略的な関係を積極的に利用しようとしている。これは私たちの国の安全を脅かしている」

「誰もがこのリスクを理解する必要がある。大学と学生を保護するための取り組みを説明するよう、返事を待っている」と議員は結んだ。

国立衛生研究所傘下組織で起きた事件

スコット議員のこの要求は、米国国立衛生研究所(NIH)の傘下機関で、タンパ本拠のモフィットがんセンター(Moffitt Cancer Center)が大規模な運営改革を実施した直後に起きた。

2019年12月18日、同センターは、「中国での業務を通じた利益相反規則違反」で、最高経営責任者(CEO)とセンター長の辞任を発表した。同センターは、NIHから警告を受けたのちに、内部調査を行ったという。調査の結果、コンプライアンス違反があったことを認めた。違反の詳細は明かされていないが、「中国の千人計画プログラムへの参加に焦点を当てた」という。

フロリダ州ホセ・オリバー下院議長は12月31日、このモフィット・センターの問題について、さらなる調査をするための委員会の設置を発表した。州議会で、1月21日に聴聞会が開かれる予定という。

中国教育部(文部科学省に相当)が主導する海外ハイレベル人材リクルートプログラム「千人計画」は、2008年から始まった。世界レベルの科学者を厚遇で中国に招待し、中国共産党の政策にかなう経済発展と技術研究に加える。

米国は、千人計画について、中国共産党政権が世界で展開するスパイ活動の一環とみなしている。2019年11月の米国上院の常設小委員会レポートでも、この脅威を強調している。報告によると、千人計画では、ノーベル賞受賞者をはじめとする7000人以上の米国人が中国で採用されている。

千人計画は、中国国外、特に米国で研究開発に携わる個人をスカウトしている。中国当局が給与、研究資金、研究室スペース、その他の優遇措置を与えることと引き換えに、米国で得た技術および研究成果を中国に渡すことを要求している。

報告によると、一部の研究者は、千人計画に参加していることを明らかにしない場合がある。あるケースでは、中国および米国の両方から研究資金を受け取り、中国で「裏の研究機関」を設立し、米国で得た知的財産と技術を渡していた。

上院常設小委員会は、千人計画参加者について「米国の法的および倫理的立場を危うくし、透明性、相互性、および整合性に関する米国の基本的な科学的規範を損なっている」と指摘している。

あるケースでは、多数の米国政府からの研究助成金を受け取った米国大学教授が、いくつかの中国の人材プログラムに参加していた。中国では軍事研究を行う研究所を指揮し、また、米国では中国人留学生を自身の研究所で働かせていた。

これらの中国人留学生を使用した米国の研究開発プロジェクトの例は、「中国の軍事の現代化の取り組みに関わる研究開発組織と直接提携していた」と指摘している。  

(FRANK FANG/翻訳編集・佐渡道世)