エスパー米国国防長官は2月6日、ジョンズ・ホプキンス大学の高等国際問題研究大学院(SAIS)で講演し、国防総省は極超音速兵器の研究開発を加速させ、今後50億ドルを追加し、数年前倒しして完成を目指すと述べた。
長官は講演で、2018年1月に発表した「2018年米国国家防衛戦略(2018 National Defense Strategy)」(以下「国防戦略」)は進展はあったものの、大きな挑戦に直面していると述べた。
およそ10年振りに発表された「国防戦略」は、米国の国防戦略の全体図を示すもので、世界的な軍事競争で米国の優位性は低下していると認め、中国とロシアは戦略上の主要な競争相手とした。この競争に勝つため、米国軍の攻撃力の向上、同盟国とのパートナーシップ強化、国防省・米軍の機構改革など三つの課題があると言及した。
エスパー長官は、引き続き共産党政権の中国が最大の脅威であり、その次はロシアだとの見解を示した。米国は、中ロとの競争が軍事紛争に拡大せず、政治経済の分野にとどまることを望んでいると述べた。また、誤判断を避けるために、中国軍およびロシア軍とのハイレベル会談は続いているとした。
パートナーシップの強化について、インド太平洋諸国の状況を伝えた。長官は、中国の影響力の拡大に直面するインド太平洋諸国の同盟国は、米国との連携に意欲を示していると述べた。
「国防戦略」のなかで、中国はインド太平洋において「全世界的な長期戦略を通じて権力を主張し、地域覇権を獲得するため、米国からの影響力のスイッチを追求し、軍事近代化計画を引き続き行うだろう」と記している。
長官は、国防長官就任から半年間でインド太平洋地域を2回訪問している。このなかで、地域諸国は「中国の台頭に対する脅威をどの地域よりも分かっている」とし、二国間あるいは多国間協定を通じて、自由かつ開放的な国際制度の規範と価値を守るなど、米国との関係を強化し続けるとした。
米軍の攻撃力の強化については、極超音速兵器の開発について語った。長官によると、国防総省は極超音速兵器の研究開発プロジェクトに50億ドルを追加し、数年前倒しして完成を目指す。
米国防総省は、2021年度の防衛予算報告書を間もなく議会に提出する。エスパー長官は、防衛予算の増加は、国防戦略を進める上で必須条件だが、国内政治の要素から、国防総省にとって大きな挑戦になっていると述べた。
(翻訳編集・佐渡道世)
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