中国政府系メディアは現在、欧米各国の中共肺炎(武漢肺炎とも呼ぶ)のまん延を積極的に報道し、当局の感染防止政策が功を奏したと宣伝している。中国国内SNS上では、世界各国の感染拡大が制御不能だと内容が同じような書き込みが急増し、海外在留中国人の帰国を促した。
投稿は一様に、「XX国の感染拡大は抑止できない状況になった。毎日数え切れないほどの人数の患者が受診しているが、ウイルス検査ができないため、みんなが家に帰らされたと、私はXX病院にいる友人から聞いた。XX国の高齢者人口が多く、多くの患者は自宅で死亡した。感染の確認ができない状態なので、病(中共肺炎)に患ったとカウントされない。このため、XX国の感染者数の増加ペースが低いのだ。本当に恐ろしい。私はすでに帰国の航空チケットを予約した。これが今という大事な時にやるべき一番重要なことだ」との内容になっている。
この内容に基づき、「XX国」はアメリカ、フランス、フィンランド、オーストラリアなどだけではなく、地球外の「月」、「火星」、「銀河系」にも書き換えられ、風刺を交えた書き込みもあった。
日本にいるツイッターユーザー、「日本吹哨人」3月16日の投稿が、これらの書き込みの元であるとみられる。同ユーザーはツイッター上で、中国当局の防疫対策について「中国モデルはすごい」と度々称賛し、外国政府が「無能だ」と批判した。
同ユーザーは16日の投稿で、中国語で「日本での感染は抑止できないほどに拡大した。毎日数え切れないほどの人数の患者が受診しているが、ウイルス検査ができないため、みんなが家に帰らされたと、私は日本の病院にいる友人から聞いた」などと主張した。
中国国内ネットユーザーは次々模倣し、パロディにした書き込みを行った。SNS微博では、ユーザーは「海外は全滅か?中国が世界を救わなければならないというのか?恥を知れ!」「みんなの書き込みはやり過ぎかもしれないが、でも今、国内の主流メディアは本当にこのように宣伝しているよ」との声を上げた。
中国当局は、国内の新規感染者が「ゼロ」となったことや「海外から新型ウイルスが輸入された」「各国は中国の防疫対策を学べ」と広めている。国内メディアはこのほど、北京や上海などの空港は帰国者で「大混雑」と報道した。
匿名の武漢市民は大紀元の取材に対して、当局が公開した感染情報について「信じていない」「企業に生産を再開させるために、『ゼロ感染者』と訴えているだけだ」と述べた。
一方、中国当局は16日、帰国者や入国者を対象に14日間の隔離措置を実施し始めた。帰国者らは指定のホテルに移動させられた。隔離に必要な宿泊費などは自己負担だという。
一部の帰国者は隔離のため病院に連れて行かれたが、15時間も廊下で放置され、食料品はなく二日間も食事を取ることができなかったと不満を訴えた。また、すでに感染したにも関わらず解熱剤を飲んで検疫をかいくぐった人もいた。
中国政府系メディアの動画番組「拉薩融媒」の男性司会者は、帰国した留学生や中国共産党の若手支持者である「小粉紅」(ピンクちゃん)について「はるばる感染を広めに来た」と批判し、「普段はアメリカ暮らし、有事の時は帰国する巨大な赤ちゃん」を歓迎しないと発言した。
「中国共産党のプロパガンダを真に受けた『小粉紅』は、あっという間に見捨てられた」との声が上がっている。
(翻訳編集・張哲)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。