最新の調査報告は、昨年、メコン川の漁業と農村に深刻な被害をもたらした干ばつは、上流に建設された中国資本の11のダムが下流への水の流れを制限していたことによって、さらに悪化したと指摘した。米政府系メディア、ラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
調査会社アイズ・オン・アース(Eyes on Earth)社のアラン・ベイシスト代表によると、衛星測定から、昨年の干ばつがタイや下流の他の国で起こったとき、メコン川上流域の中国のダムは「平均以上」の水位だったことが分かったという。
ベイシスト氏は、干ばつ時の中国のダムの水位について「直接的な干ばつを引き起こしたわけではないが、状況を悪化させた」とした。
同氏は、米国政府の支援を得た共同研究で、28年間におよぶ衛星データを解析した。その結果、河川の湿度を測定したところ、中国の11のダムが干ばつ時に極端に流れを制限し、「大量の水」を抑え込んでいたとの結果を得た。
チベット高原を源にする世界で12番目に長いメコン川は、中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムの6カ国にまたがる6000万人の生活を支える。しかし、昨年は、もっとも漁獲量が増加する雨季でさえ、川の一部が乾き、ひび割れた褐色の河床が現れた。昨年のメコン下流域の水位は過去50年間で最低だったという。
この調査は、昨年末に開設した2つの新しいダムによる影響を含んでいない。
下流域のタイ、ラオス、カンボジア、ベトナムの4カ国は、河川利用を調整する国際組織・メコン川委員会を設けている。2020年初頭、同委員会は、中国政府がメコン川上流の11のダムで設備テストを行っているため、水の流出量が減少する可能性があると警告していた。
東南アジアにおける中国の影響力拡大に対抗してきた米国は、北京がダム建設ラッシュを通じてメコン川を実質的に支配しようとしている、と警鐘を鳴らしていた。昨年バンコクで行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議に出席した米国のマイク・ポンペオ国務長官は、干ばつの原因を「上流で水を遮断する中国の決定」が原因だと非難していた。
(翻訳編集・佐渡道世)
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