ソーシャルメディア・プラットフォームのツイッター(Twitter)は5月11日、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の流行の誤った情報を規制すると発表した。同日、人工知能分野で著名な中国の学者・李飛飛氏(リー・フェイフェイ、43)の独立取締役就任を発表した。李飛飛氏は過去、中国ハイレベル人材招へい計画「千人計画」に参加し、中国共産党思想を掲げていたことがあるため、ツイッターの独立性に悪影響を及ぼす可能性がある。
ツイッターは11日発表のプレスリリースで、同社で11人目となる独立取締役に就任する李飛飛氏について、「彼女のAIに関する専門知識は、ツイッターの多様性にプラスの変化をもたらす」と説明した。
同日、ツイッターは、誤解を招く情報を規制するための新たな措置を発表した。これは、検証されていない情報や物議を醸している情報を含むツイートに注意書きを追加したり、深刻な被害をもたらす可能性のある誤解を招く情報の削除を行う。ツイッターは、まず初めに、ニセ情報対策として中共肺炎(新型コロナウイルス肺炎)の流行についてのツイートを対象にするという。
ツイッターにおいて、李氏の独立取締役としての役割と、ニセ情報規制の新規定について何の関係があるのかは説明されていない。 しかし、過去には「千人計画」に参加し、中国の技術開発の国家プロジェクトに加わった経歴のある李氏について、外部で人選の見直しを求める声が上がっている。
李飛飛氏は16歳で渡米。2009年にはスタンフォード大学の助教授を務め、AI研究を評価されて2016年11月に米国グーグルのクラウド研究の副代表に就いた。グーグルは2017年、中国のクラウド型AIに関するアジア初のAI専門研究施設「グーグルAI中国センター」を設立し、李氏は共同センター長に就任した。
2017年6月、北京の清華大学は、中国共産党中央軍事委員会科学技術委員会から委託を受けて「軍民融合防衛先進技術研究所」を設立した。同じころ、李氏は清華大学とグーグルの共催するAIワークショップに参加している。2018年にスタンフォード大学に戻り、同大学人工知能研究所(SAIL)代表を務めている。
李氏は、西側諸国の最新技術を持つ専門家や技術者を厚遇で中国へ招き入れる中国共産党主導のリクルート計画「千人計画」に参加しており、米国と中国を行き来して、中国政府が支援する学術研究プロジェクトに複数回関わっている。
李氏は00年代後半、スタンフォード大学のSAILで、世界最大の画像認識データベース「ImageNet」を設立し、世界的な顔認証技術に大きく貢献した。しかし、共産党政権下の中国にも、類似の顔認証技術が渡り、当局が中国国民を監視するツールとなった。
中国共産党政権への間接的な協力を行ってきた李飛飛氏のAIに関する専門知識は、ツイッターのなかでどのような影響をもたらすのか。 米国拠点の人権組織・権利ネット国際担当の夏任磊氏は、ラジオ・フリー・アジアの取材に対し、ツイッターでは今後、中国共産党によるプロパガンダが増加すると予想している。
「ツイッターでは、中国外務省や新華社通信、人民日報のような中国公式アカウントに認定アカウントの『青チェック』を付けている。この認定基準のひとつに「公益に貢献している」というのがある。しかし、中国共産党政権はサイバー監視を強め、表現の自由を抑圧しており、どうして公益に貢献しているといえるのか」と批判した。
2009年に中国市場から撤退したグーグルだが、2017年のグーグルによる中国AIセンター設立は、「本格的な中国回帰」と報道された。また、李飛飛氏が2017年のAIセンター共同所長就任のスピーチで、中国共産党が多用するスローガンである「不忘初心(初心忘れるべからず)」を使用し、「中国己覚醒(中国はすでに目覚めた)」と称賛の言葉を口にした。
(翻訳編集・佐渡道世)
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