83トンの純金、金メッキを塗った銅だった ナスダック上場の中国企業が融資担保に使用

2020/07/03
更新: 2020/07/03

中国最大級の金宝飾メーカーで米ナスダックの上場企業でもある金凰珠宝(Kingold Jewelry、湖北省武漢市)が、所有すると主張している83トンの純金は、金メッキを塗った銅だったことがわかった。ナスダックの同社市場価格は昨年同期比で80%近く下落した。

中国国内メディア・財新によると、金凰珠宝は2015年以降、金を担保に信託会社15社から総額200億元(約3000億円)の融資を受けた。国営の中国人民保険公司(PICC)の子会社が融資保険を提供した。

金の偽造問題が発覚したきっかけは、債権者の東莞信託や民生信托が担保である金の検査を行ったことだった。東莞信託は債権整理のために2月に同社を調査したところ、銅に金メッキを塗った偽の金があることを発見した。さらに、5月22日、民生信托が裁判所を通じて倉庫を調べたところ、金凰珠宝が召集する83トンすべての「純金の延べ棒」は、すべて金メッキが施された合成の銅(タングステン)であることがわかった。

金凰珠宝の賈志宏社長は前日まで調査を強く拒んでいたという。

香港メディアによると、中国人民財産保険会社・湖北支店のトップの劉方明共産党書記は7月2日までに辞任し、当局の調査を受けている。公式発表は出ていない。

中国国内メディアによると、中国人民財産保険会社・湖北支店は、金凰珠宝が所有すると謳う金地金を担保に金融商品を相次ぎ発行した。このため、債権が増加し、金凰珠宝の負債比率が大幅に上昇した。

創業者の賈志宏氏、人民解放軍の出身者

財新が伝えた情報筋の話によれば、金凰珠宝に投資する者の多くは、湖北省外の企業だという。

「賈氏がそんなに多くの金を持っているわけがないとみんな周知している。彼が持っているのは銅だけだ」と、情報筋は述べた。事情を知る投資家たちは、賈氏を怒らせないように黙っているだけだという。

市場に精通するアナリスト・楊艶氏はラジオ・フリー・アジアの取材に対し、金鳳珠宝は1994年に設立され、かつて中国人民銀行が所有する金製造工場だったと明かした。賈氏は、陸軍の後方総務を管理する後勤部で金鉱山の管理を担当していた。

賈氏は金を偽造したことを否定している。しかし、楊氏は、彼が金製造工場と結託していなければ、この大量の偽物の金を製造することは不可能だとみている。

2010年8月に米新興市場ナスダックにKing Goldの名前で上場した。世界的に知られる金鉱山企業Kinross Goldをもじっているとされる。2018年、金凰珠宝は、中国の大手自動車部品メーカの三環集団の株式99%を70億元を現金で購入し、筆頭株主となった。湖北省政府は、この買収を「混合所有制改革」のモデルとして称賛した。

2020年、裁判所から同社に対する強制支払い執行命令がすでに22件にも及んでいる。民生信託、東莞信託および長安信託は6月上旬、金凰珠宝に対して訴訟を起こしている。金凰珠宝の金が発行した融資で未払いの商品は160億元にもなるとされる。

賈社長が保有する同社株および関連会社の中国市場の株式は裁判所により凍結されている。上海金取引所は6月24日、会員規定違反により金凰珠宝の会員資格を取り消したと発表した。

米ナスダックでは取引は続いているが、2018年の三環集団の買収時には一株13ドル代を記録した同社の株価は、6月30日の金メッキ報道以降10%近く下がり続けており、7月3日の時点で0.48ドルとなっている。

中国の公式統計によると、金凰珠宝が所有していたとされる純金83トンは、中国の年間の金生産量の22%、2019年の中国の金準備高の4.2%に相当する。

(翻訳編集・佐渡道世)