英議会委員会、国民投票へのロシア介入疑惑で調査要請

2020/07/22
更新: 2020/07/22

[ロンドン 21日 ロイター] – 英議会の情報安全保障委員会は21日、欧州連合(EU)離脱が決まった2016年国民投票へのロシア介入の有無について英政府が解明に取り組まなかったとして、英情報機関が調査を実施し、結果を明らかにする必要があるとする報告書を公表した。

情報安全保障委は報告書で、「ロシアは英国を最大のターゲットの一つと見なしている」と指摘。ただ、ロシアが英国のEU離脱(ブレグジット)を巡る動きに影響を及ぼそうとした兆候は確認できたものの、確実な証拠は得られなかったとした。

報告書は、14年に実施された英国北部スコットランドの独立を問う住民投票にロシアが介入を試みたと指摘。EU離脱を問う16年の英国民投票にロシアが介入したか委員会として確証は得られなかったとした。ただ、ロシア介入の証拠提示を求めた際、秘密情報局(MI6)はわずか6行の文書しか公表しなかったとし、「英国の情報機関はEU離脱の是非を問う国民投票へのロシア介入の有無を検証し、機密文書とされない要約を公表する必要がある」とした。

このほか「オリガルヒと呼ばれるロシアの新興財閥は、英国を格好の資金送金先と見なしていた」とも指摘。英国はロシアからの資金を歓迎し、 ロンドンは違法資金のマネーロンダリング(資金洗浄)が行われる「コインランドリー」と称されていたと指摘した。

報告書のEU離脱の是非を問う国民投票を巡る部分は大幅に編集されており、機密文書扱いとされた付属文書は公表されなかった。

ジョンソン首相の報道官は、EU離脱の是非を巡る国民投票は公正だったと首相は確信していると述べた。ラーブ外相は、政府がロシア介入疑惑の調査を回避したとの指摘を否定。「政府はロシアによる脅威を長らく認識してきた」とした。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は「ロシアは米英を含むいかなる国の選挙にも介入していない」と述べた。

報告書は1年以上前に作成されていたが、これまで公表されていないなかった。

Reuters
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