[ワシントン 7日 ロイター] – 米財務省は7日、香港の自治侵害などを理由に、香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官を含む11人を制裁対象にしたと発表した。
制裁対象となるのは、林鄭氏のほか、香港警察トップの鄧炳強(クリス・タン)警務処長や盧偉聡前警務処長、李家超(ジョン・リー)保安局長、テレサ・チェン司法長官、香港出先機関「香港連絡弁公室」トップの駱恵寧主任、香港マカオ事務弁公室の夏宝竜主任など。米国内の資産が凍結され、米国人との取引が禁止される。
今回の制裁は、中国による香港国家安全維持法の施行を受け、トランプ大統領が先月署名した香港に対する優遇措置を廃止する大統領令に基づく。
ムニューシン財務長官は声明で、香港国家安全維持法の施行によって、香港の自治が損なわれ、中国に敵対的と見なされる個人や団体に対する弾圧の下地が作られたとの認識を示した。
林鄭氏については「自由や民主的なプロセスを抑圧する中国の政策施行の直接的責任を負う」と批判し、「米国は香港の自治を脅かすものを標的にあらゆる手段と権限を講じる」と表明した。
ポンペオ国務長官は別の声明で、制裁は「香港当局の措置は容認できないとの明確なメッセージ」とし、中国の「一国二制度」の公約に違反していると主張。ツイッターには「中国共産党やその支持者の残虐な圧制に苦しむ香港の人々を傍観することはない」と投稿した。
トランプ大統領は6日、短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を傘下に置く中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)と対話アプリ「微信(ウィーチャット)」を運営する中国の騰訊控股(テンセント)<0700.HK>との取引を45日以内に禁止する大統領令に署名した。これに対し中国外務省は7日、断固反対を表明。両国間の緊張は高まっている。
関係筋によると、林鄭氏が9月6日に予定されていた立法会(議会)の選挙を1年延期すると発表したことを受け、制裁に関する議論が強まったという。
新アメリカ安全保障センター(CNAS)のピーター・ハレル氏は、制裁は「米国による対中政策の激化」の表れと指摘。香港政府との取引は禁止されないように見えるが、制裁下でどのような取引が容認されるのかが分からず、銀行業界に不安が広がる可能性があるとした。
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