アルゼンチン当局と中国の養豚に関する合意は、地元市民や環境保護活動家の間で反発を巻き起こしており、8月14日の時点で40万人が協定に抗議する請願書に署名した。
専門家によると、同協定はアルゼンチンに高い社会的、環境的、公衆衛生的コストをもたらすと指摘している。
英紙ガーディアンによると、今回のこの35億ドルの投資協定の下で、中国当局はアルゼンチンにさらに25カ所の養豚場を建設し、1養豚場あたり平均約1万2500頭の豚を飼育する計画だという。
アルゼンチン大統領が先日、協定の合意を発表をした後、同国の民間で少なくとも5つの合同署名請願が発起され、現在合計40万人近くが「中国との協力に反対する」運動に署名している。
同国のフェリペ・ソラ(Felipe Solá)外務大臣はその後、ツイッターに「アルゼンチンは輸出を増やす必要がある」と投稿し、合意の正当性を主張した。
分析では、「このプロジェクトはアルゼンチンの喉の渇きを癒す『毒酒』となる」と考えている。
報道は、「環境保護の観点から見ると、中国当局の豚肉生産目標を達成するために、アルゼンチンは飼料としてトウモロコシや大豆を栽培するために何十万ヘクタールもの土地を投資する必要があり、それが同国の生態系に負担を増す可能性もある。同国の森林破壊問題はすでにかなり深刻だ」との分析を引用した。
また、同国の法律では、現地の農工業産業を規制することは困難である。
環境生態学に注意を払う経済学者のマリア・デ・パオラ(Maria De Paola)氏によると、「アルゼンチンには国の環境法はなく、工場も政府の管制を受けるのではなく、管理レベルの低い地方自治体によって管理されている」という。
また同氏は、「何千人もの新規雇用を生み出すことは魅力的かもしれないが、実際には近隣地域や全人口がどれだけの社会的、環境的、公衆衛生的コストを負担するかはわからない」との懸念を述べた。
また同国の生物学者ギレルモ・フォルゲラ(Guillermo Folguera)氏も、「養豚場で発生した病原体や細菌、ウイルスは動物を通じて人間に伝染する可能性がある。中国が生産チェーンを海外に移動させると同時に、繰り返される疫病発生と流行拡大のリスクも一緒に付いてくることはほぼ間違いない」との懸念を示した。
中国では2018年に発生したアフリカ豚コレラは今も続いているほか、今年の中共ウィルス(新型コロナウィルス)や大規模な洪水などが猛威を振っている。そのため、中国当局は南米地区を豚肉の主要輸入地にしようと狙っている。
アルゼンチンは中共ウィルスの流行が非常に深刻な国の一つでもある。最近、毎日数千人の新規感染が確認されており、累計ではすでに28万人以上の感染者を出しているという。
(大紀元日本ウェブ編集部)
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