[ブリュッセル/ロンドン 21日 ロイター] – 欧州連合(EU)を離脱した英国とEUの将来関係などを巡る交渉は今週、進展がほとんど見られなかった。年末の期限が刻一刻と迫る中、双方の首席交渉官は膠着状態を互いに非難した。
EUのバルニエ首席交渉官は2日間にわたる交渉後の記者会見で、「今週の交渉が迅速に進展すると期待していた人たちは失望しただろう」と述べた。
英国のフロスト首席交渉官は、離脱後交渉での合意は「まだ可能」で、引き続き英国側の目標だが、合意達成は容易でないと指摘。声明で「未解決な重要分野がある。交渉官同士で幅広い理解がある場合でも、対処すべき箇所は多い一方、残された時間は少ない」とした。
英当局者は、英国側はあらゆる問題について協議したい意向だが、EU側が英国は国家補助と漁業権に関する立場を受け入れる必要があると主張しているため、交渉が遅れている責任はEU側にあるとした。
EUは、年内の批准を可能にするためには、10月15─16日開催のEU首脳会議での承認に間に合わせる必要があるとしているが、移民、安全保障、紛争解決メカニズム、人権保証などの分野でも意見の相違が続いている。
バルニエ交渉官は、ジョンソン英首相が今夏中に交渉手続きを加速させたいとEU側に伝えていたが、「今週も7月の交渉と同様に、英国の交渉担当官はEUにとって基本的に重要な問題について前進させようとする意向を示していない」と指摘。EU側はここ数カ月間にわたり柔軟性を示してきたにもかかわらず、変化のない英国側の姿勢に「失望したし、懸念している」と語った。
また、英領海での漁業権を巡る問題は今週、全く進展がなかったとし、交渉全体では前進よりも後退しているようで、現段階では合意は得られそうにないとした。
ただ、2021年以降のエネルギー分野と反マネーロンダリング(資金洗浄)での協力に関しては一部進展があったとした。
EUの外交官は、今月に大きな進展があると予想していた人はほとんどおらず、9月第2週にロンドンで開催される次回の交渉で進展があるとの見方が高まっていると述べた。
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