多くの中国高官、密かにキプロスへ移民

2020/08/27
更新: 2020/08/27

カタールの放送局アルジャジーラは8月23、24日に独占調査レポートを発表し、中国高官を含む海外移住した人のリストを公開した。その多くは中国共産党の最高意思決定機構、全国人民代表大会(国会に相当、以下「全人代」)と政府の諮問機関である全国人民政治協商会議(以下政協)のメンバーであることを明らかにした。

同局が独自入手したキプロス政府の「『キプロス文書』(The Cyprus Papers )」によると、キプロスは2017~19年にかけて、70カ国以上に1400の「ゴールデンパスポート」を承認し、うち500以上が中国人だという。

欧州連合(EU)加盟国のキプロスでは2013年、不動産の購入など215万ユーロを投資すれば、「ゴールデンパスポート」を申請できる、という「キプロス投資プログラム」を開始した。

この「ゴールデンパスポート」を取得すれば、EU26カ国を自由に渡航したり、就労したりすることができる。

調査によると、同パスポートを取得した人の多くはロシア人、中国人、ウクライナ人だという。申請者が書類を提出すれば許可され、審査基準が非常に緩いと指摘されている。

同放送局は、キプロスの国籍取得をした8人の中国人の名を公開した。中にはアジア1の女性富豪、中国最大の不動産開発会社「碧桂園(カントリーガーデン)」の創業者の次女、楊惠妍氏が含まれている。

同リストには、成都市の全人代メンバー陸文彬氏(音訳)、武漢市黃陂区の区政協メンバー陳安林氏(音訳)、元浙江金華市の政協メンバー傅正軍氏(音訳)および山東濱州市の政協メンバー趙振鵬氏(音訳)など、複数の省や市の高官の名が連なる。

中国の法律では、二重国籍は認められておらず、全人代などのメンバーは、外国籍を持つと代表の資格が取り消されるという。

また同リストには、国営企業華潤電力の最高経営責任者(CEO)の唐勇氏の名もあった。かつて香港紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストは、中国国営企業の要職に就いている人は外国パスポートの所持を認められないと言及していた。

「元証券会社で投資銀行のトップ」「電気自動車メーカーの会長」「香港の会社」「製薬会社の最高情報責任者(CIO)」など、同放送局はさらに個人名を伏せて中国人申請者11人の情報を公開した。

以前、EU委員会は2019年1月の報告書で、「ゴールデンパスポート」プログラムは、マネーロンダリング、汚職、脱税のリスクを高めるほか、犯罪グループがヨーロッパに潜入する手段になりかねないと警告していた。

北京の内部情報筋によると、政府幹部の腐敗を取り締る中央紀律検査委員会の調査によると、2012年の両会の76.77%の政協メンバーと57.47%の全人代メンバーらが外国のパスポートを所持していたことが、2011年2月のデータに基づいて明らかになったという。

(大紀元日本ウェブ編集部)