米国で起訴された中国国防大の学生、婚約者も逃亡図り逮捕 軍用スパコンを研究

2020/09/10
更新: 2020/09/10

証拠隠滅および米連邦捜査局FBI)の調査を妨害した疑いで8月に米国で逮捕された中国国防科技大学の学生関磊(Guan Lei音訳)容疑者の婚約者は、証人になると承諾した後、国外逃亡を企み、空港で逮捕された。

関容疑者は7月、FBI調査官との面談の2日後に、急いで中国へ帰国しようとしたが、「米国の利益を損害した」と空港で審査官に足止めされた。自宅に引き返した彼は、ハードドライブを破壊しゴミ箱に捨てた。

29歳の関容疑者は、2018年からカリフォルニア大学ロサンゼルス校に留学しており、人工知能を中心に研究している。

検察当局は、同容疑者が機密な米国ソフトウエアや技術データを中国に送り、核爆発アプリケーションを備えたスーパーコンピュータの開発に使用しようとしたと疑っている。

同容疑者の楊智慧(Yang Zhihui音訳)婚約者も、同じ大学で学ぶ中国人留学生であり、証人になることに同意していた。8月31日に検察官に通知せずに中国行きの飛行機に搭乗しようとして、同日、空港で逮捕された。

捜査官訪問後2日で急いで国外脱出を図る

7月17日、FBI捜査官は関容疑者のアパートを訪ね、事情聴取を行った。同容疑者はノートパソコンや携帯電話2台を調査のために提出したが、「他にデジタル・ストレージ・デバイスは持っていない」と述べた。しかし、携帯電話やノートパソコンは最近、初期化された形跡があり、以前のデータは残っていないと報告されている。

FBIが訪問した2日後の19日、関容疑者は中国行きの飛行機に乗ろうとロサンゼルスの空港に向かった。当時、同容疑者は審査官によるコンピュータチェックを拒否し、また中国領事館や大使館と接触したかどうかを尋ねられた際は、「していない」と答えた。

検査後、税関職員は同容疑者の搭乗を拒否し、「米国を離れると米国の利益を損害することになる」と告げた。

ハードドライブを靴下に詰め込み、ゴミ箱へ

出国を拒否された1週間後に、関容疑者は靴下の中に隠してハードドライブを自宅付近のゴミ箱に捨てた様子が目撃されており、その際、同容疑者の婚約者もそばにいたという。捨てられたハードドライブはのちにFBIによって回収され、同容疑者のノートパソコンで使用するものと一致することが確認できた。しかし、ドライブは人為的に破壊されており、内容は全て消去されていたという。

関容疑者は、FBIの自宅訪問に応じたのは「隠蔽するものが何もない」ためであり、自分が狙われたのは「米中間の政治情勢」が原因だと信じていると述べた。

FBIに中国領事館との関係を隠していた

「米国での2年間は中国領事館と一切接触していない」と、関容疑者はFBI捜査官に対し嘘の供述をしていた。

起訴状は、FBIが捜索令状を通じてグーグルから入手したメールの通信記録を引用し、同容疑者が6、7月にロサンゼルスの中国領事館やワシントンD.C.の中国大使館との間で複数のメールを送受信したこと、同容疑者は母校の中国国防大学が米国のブラックリストに載せられたことへの懸念を表明したこと、中国への帰国を望んでいることなどを詳述した。

FBIはこの1年間、中国の学者の動きを注視し、彼らは米国の研究機密漏洩の経路の一つだとわかった。

米国司法省はこの夏、複数の中国軍出身の研究者を起訴した。

駐米中国領事館のウェブサイトでは、空港での電子機器検査について留学生に警告を発している。また中国の外交官が各地を回って、捜査に警戒するよう留学生に注意を促したり、中国軍関係者に電子機器やソーシャルメディアのチャット記録などを削除するよう促したりした。

軍用スパコン関連の研究を専攻

最新の訴訟によると、関容疑者はカリフォルニア大学ロサンゼルス校の数学系で「最適化アルゴリズムとその機械学習への応用」を研究しており、これは中国軍が進行中の軍事応用研究に関連するものであるという。

中国国防大で同容疑者を指導した教授はかつて、中国軍の参謀本部、総装備部、空軍と軍事気象予報および核技術コンピュータシステムの開発に携わった盧錫城中将だった。

起訴状によると中国国防大は、米国製部品の大量購入や米国技術の取得および核爆発アプリケーションを備えたスーパーコンピュータの開発などの疑いが持たれており、同大学は米国商務省の核不拡散条項の事業体リスト(ブラックリスト)に掲載されている。

しかし、関容疑者の米国での指導教授は、同容疑者が不正行為を働いたとの報告は受けていないとし、同容疑者が大学で軍事的または機密性のあるアプリケーションに不法にアクセスしたとは考えていない、とFBIに伝えた。

起訴状にはこの指導教授の名前が記載されていないが、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の数学教授である尹沃濤(Yin Wotao)氏の紹介ページに関容疑者が短期留学生であると書いてあった。

現在、同大学のウェブページには、尹教授は「休暇中」と書かれている。

同教授はまた、中国の電子商取引会社アリババグループの在米組織と連携しているという報告もある。

関容疑者は2020年9月17日に証拠隠滅の罪で逮捕される。これは最高で20年の懲役刑が科される重罪に当たる。

(大紀元日本ウェブ編集部)