11月に行われる予定の米国、インド、日本による海上軍事演習「マラバール(Malabar)」に、オーストラリアが加わる。インド国防省が10月20日に発表した。
インド外務省は声明で、「マラバール演習2020の参加者は、海洋分野における安全とセキュリティの強化に取り組んでいる」と述べた。さらに、「自由で開かれた、包摂的なインド太平洋地域を共同で支持し、ルールに基づく国際秩序に引き続きコミットしている」と付け加えた。
日米印豪は、インド太平洋地域における中国の影響力と野心の高まりを抑制するため、同盟国や友好国との連携の強化を呼びかける中心的な国となっている。
オーストラリア国防省の声明によると、オーストラリアが毎年恒例の米印日海軍演習マラバールに参加したのは、2007年が最後。
1992年にインドと米国が開始した海軍演習マラバールは、2015年に日本の参加を定例化した。ベンガル湾とアラビア海で来月開催される演習は今回、中国が岩礁の軍事拠点化を進める南シナ海でも展開する。具体的な日付は発表されていない。
インドと中国は6月以降の国境紛争で関係がかなり悪化している。南シナ海ではたびたび、米国と中国が相互をけん制するために艦船を航行させている。
10月6日、米国、インド、オーストラリアは閣僚会議を東京で開催し、4カ国安保対話(Quad、クアッド)外相会合を行なった。4カ国は、安全保障協力枠組みである「クアッド」を構成し、日本が提唱した自由で開かれたインド太平洋構想をけん引する中核的な存在であることを明白にした。
クアッドは、地域で積極的な拡張を進める中国共産党への封じ込めとなる。中国の王毅外相は、「アジア版NATO」とたとえ、強い反発を示した。
菅義偉首相は訪問先のインドネシアで会見し、インド太平洋版のNATO作成の予定はないと語った。しかし、自由で開かれたインド太平洋を実現する決意を改めて表明し、中国をけん制した。また、日本の重要な海上交通路でもある南シナ海で緊張を高めるいかなる行為にも反対すると強調した。
南シナ海では10月19日、20日に米海軍、日本の海上自衛隊、豪海軍による3カ国の訓練が行われている。2020年に3カ国が合同演習するのは5回目となる。米軍によると、「同盟国の海上安全保障能力と、地域的な不測の事態にも対応できる体制」を磨くために共同訓練を行うとした。
米海軍広報は「南シナ海において、私たちは透明性があり、法の支配、航行と上空飛行の自由など、インド太平洋地域の安全と繁栄を支えるすべての原則を推進する。この地域のすべての国が利益を得られるようにする」とコメントしている。
2月、米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会(USCC)」の公聴会に、太平洋軍指揮官や中央情報局(CIA)長官を歴任したデニス・ブレア氏が出席。ブレア氏は地域で膨張主義をとる中国側に、武力攻撃のリスクを認識させるため、東アジア版NATO構想のような高い抑止力のある軍事同盟は必要だと語った。
(翻訳編集・佐渡道世)
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