仏ル・モンド、中国臓器の出所問題を再提起 「透明性疑う」

2020/11/30
更新: 2020/11/30

仏有力紙ル・モンドは最近、中国の刑務所では、当事者の事前の同意なしに臓器が摘出され、利用される問題があると報じた。60人あまりの議員は9月、臓器の強制摘出に対応して、両国保健分野の共同研究の透明性を高めるよう求める法案を提出した。

同紙によると、中国は死刑囚の臓器利用を2015年に停止したと公表したが、いまもなお、​中国の病院で多くの臓器移植が行われている。移植手術の件数も記録的に上昇しており、多くの臓器は透明性のある契約により提供されたものなのか、疑わざるを得ないと指摘した。

中国政府は年間の処刑人数を非公開にしているが、ニュース報道などから1000人あまりと推測されている。中国政府に弾圧されている中国伝統的な修煉法・法輪功の学習者が2006年から強制臓器摘出の被害に遭っていると訴えてきた。

​中国の臓器移植のための、臓器の出所について強い疑念を抱くフランスの約60人の議員は9月15日、両国保健機関の共同研究の透明性を向上させるよう求める法案を提出した。​

しかし、​オリビエ・ベラン連帯・保健相はル・モンド紙の取材に対して、フランスには臓器移植に関わる新たな立法は必要ないと述べた。​

2010年前後、両国の保健機関がパートナーシップを結んだ。フランスのパリ公立病院連合(Assistance Publique – Hôpitaux de Paris、APHP)の国際関係代表フローレンス・バーバー(Florence Veber)氏は同紙の取材で、これは中国の元衛生部長・陳竺(現・中国赤十字代表)の中国医療改革を支持し、両国の医療協力を支持するためだったが、現在の関係進展は停滞していると述べた。

2013年、同連合は中国の研究チームと臓器移植の研究を行わないと決定した。「私たちは中国側の主張を検証する方法がない」とバーバー氏は付け加えた。

法案を提出したフランソワーズ・ドゥーマス(Françoise Dumas)議員は、人道犯罪について制裁がない状態は危険だとした。「​もし中国の病院が何をしているかを調べることができなければ、倫理に基づく予防的な法律が必要だ」。

​2019年、仏のバイオ技術研究所「Clinatec」が190の透析・移植センターを対象に調査した結果、そのうち24件の移植手術が外国で行われていることが明らかになった。​

フランスで移植のための臓器は不足しており、平均移植の待ち時間は約3年だ。15%〜30%の患者は待機中に死亡している。しかし、​中国衛生部が認定する146軒の移植病院の場合、平均待ち時間はわずか12日ほどだ。

中国臓器移植発展基金会の黄潔夫理事長は11月20日、2023年までに、年間5万件の移植手術を実施する、世界一の臓器移植大国を目指すと述べた。移植病院を現在の173病院から300病院へ増加し、臓器移植コーディネーターを現在の2500人から5000人に増やすという。北京で開催された臓器移植科学フォーラムに参加し、会議後に新京報の取材に応じた。

中国問題研究者でシドニー工科大学の哲学博士である凌暁輝氏は、すでに中国の移植件数は「世界一だ」と新唐人テレビの取材に語った。黄潔夫氏が移植大国を目指すための環境整備について疑問を呈した。「強制臓器摘出に対する責任追及を曖昧にしたいと考えているからだろう」。

臓器の強制摘出に反対する医師団(Doctors Against Forced Organ Harvesting, DAFOH)​は、この黄氏の目標に疑問を呈した。「中国では数百万人のドナーしか登録されていない。どうやって5万件の移植分の臓器を提供できるというのか。​英国は2000万人の臓器提供者が登録されているが、年間1500件しか移植されていない」とSNSの公式アカウントに書いている。

(翻訳編集・佐渡道世)