ジンバブエ閣僚4人が感染死 国防相「ウイルス実験」と中共を糾弾 

2021/02/01
更新: 2021/02/01

アフリカ南部ジンバブエでは、中共ウィルス(新型コロナウイルス)の感染が深刻さを増している。同国のジョエル・マティザ(Joel Matiza)運輸・インフラ開発相(60)が22日夜に、首都ハラレで死去。同氏は農業相、マニカランド州の事務総長、外務・国際貿易相に続き、中共ウイルス感染症により亡くなった同国4人目の閣僚である。

ジンバブエのオッパ・ムチングリ(Oppah Muchinguri)国防相は1月15日、オンラインメディアのインタビューで、中共ウイルスの破壊性を指摘し、中国共産党(以下、中共)の「ウイルス実験」がパンデミック(世界的な大流行)をもたらしたと非難した。

ムチングリ国防相はインタビューの中で、パンデミックは「中国(共産党)の失敗した実験によって引き起こされものだ」とし、「現在、中国ではウイルスが制御不能となり、私たちは犠牲になっている。私たちが友人と呼ぶ中国は、私たちをどこに連れて行ったのか」と語った。

また、ジンバブエ政府の中共ウイルス感染症対策本部長でもある同国防相は、国民に外国製のワクチンを接種する計画はないとし、中国の協力を得て自国が開発に取り組んでいるワクチンに期待を示した。

ムチングリ国防相は、ウイルス拡散の責任の矛先を、ジンバブエと親交のある中共に向けた。ウイルスが中国の研究所から漏えいしたと指摘したのは、極めて異例の事態だ。このインタビューの音声がネット上で広く拡散され、米政府系ボイス・オブ・アメリカ(VOA)などのメディアにも取り上げられた。

ジンバブエのコンスタンス・チェムワイ(Constance Chemwayi)外務報道官は16日の声明で、「ムチングリ氏の感情的な発言はジンバブエの立場を代表するものではない」とし、「我々は、ウイルス発生源の調査やパンデミックの克服における中国の世界的リーダーシップに感謝する」と述べた。

ジンバブエの人口は約1690万人。1月31日現在、ジンバブエの中共ウイルス感染者数は3万3000人以上に達し、死者数は1100人を超えた。

中共との「親交」

2017年にクーデターで退陣し、2019年に95歳で死去したジンバブエのロバート・ムガベ(Robert Mugabe)前大統領は、37年間の政権時代に中国の国営メディアから「中国(共産党)の旧友」と呼ばれていた。

中国から経済的・軍事的支援を受け、ムガベ氏は、1980年に独立運動で勝利を収め、同国の最高指導者となった。しかし、ジンバブエ国民に民主主義と繁栄をもたらす約束は次第に暴力や汚職、経済不振に変わっていった。

2000年以降、ムガベ氏は独裁政治を行い、欧米社会との関係が急速に悪化し、欧米の大規模な制裁を受けることになった。ムガベ氏は中共に支援を求めた。

中共は、電力網、通信、軍事、農業、医療、たばこなど多くの分野で、ジンバブエに多額の援助や投資を行っており、ジンバブエの最大投資国となっている。ジンバブエは、中共の巨大経済圏構想「一帯一路」の重要なパートナーでもある。

公式統計によると、2012年のジンバブエへの外国投資額は9億2900万ドル(約972億円)で、そのうち72%が中国によるものだった。

2015年12月初旬、中国の習近平主席はジンバブエ訪問時に10の投資協定に署名。同年12月下旬、中国政府はジンバブエに対する4000万ドルの債権を放棄すると発表した。その見返りとして、当時のムガベ大統領は2016年から中国の人民元を法定通貨にすると決めた。

中共からの「頂き物」:抑圧や腐敗、資源略奪

ジンバブエは世界2位の白金(プラチナ)及びダイヤモンド埋蔵量を持ち、クロム、金、リチウム、石炭、ニッケル、ウラン、タンタルなどの鉱物資源も豊富である。

2010年9月18日付の英紙「デイリー・メール」は、ジンバブエの匿名当局者の発言を引用し、「中国とジンバブエは、北京が武器を提供し、我々は彼らにダイヤモンドの採掘を許可するという覚書に署名した。これは政府間のトップレベルの合意だった」と報じ、中共とジンバブエの武器秘密取引の内幕を暴いた。

しかし、中共と密接な関係にある他のアフリカ諸国と同様に、ジンバブエ国民はその恩恵を受けていない。ジンバブエの経済が崩壊し、何百万人もの人が失業している。2017年の失業率は90%に達した。

ジンバブエ人民民主党の国際関係責任者であるウィリアス・マジムレ(Willias Madzimure)氏は、2016年5月に評論文書を発表し、中共がジンバブエに何の利益ももたらさなかったと指摘し、「腐敗と抑圧的政治体制を助長し、我が国の資源を奪っている」と批判した。

ジンバブエの悲惨な経済状況は国民の不満に火をつけ、ムガベ前大統領は2017年11月の軍事クーデターで失脚した。しかし、新政府の発足は、ジンバブエを中共の支配から解放することはできなかった。

中国国営の新華社通信は昨年11月10日、中共がジンバブエの与党、ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)の主要幹部と合同オンラインセミナーの開会式を行ったと報じた。

「中国共産党の中央対外連絡部の宋濤部長が会議で、中共第19期五中全会の精神を宣揚し、感染対策の常態化を背景に、経済の発展と党づくりの強化について(ジンバブエと)深い意見交換を行った」という。

(翻訳編集・王君宜)