最近、日本政府の福島第一原発汚染水の海洋放流決定を受け、中国は猛反対している。しかし、香港メディアが中国の公式情報を調べた結果、中国にある49の原子力発電所はいずれも核廃水を海に放流していることがわかった。中国・広東省の大亜湾原子力発電所だけを見ても、放射性物質「トリチウム」の排出規制基準は福島の基準の10倍に達するという。
日本政府は13日、東日本大震災で破壊された東京電力福島第一原子力発電所から排出された放射性物質を含む処理済みの汚染水を、2年後をめどに海洋放出すると決定した。
基本方針によると、放出前に処理水を海水で100倍以上に希釈し、トリチウムの濃度を国の基準、40分の1程度、世界保健機関(WHO)が示す飲料水基準の7分の1程度にまで薄めるとしている。
この決定に対して、中国当局による日本政府への批判は絶えない。中国外交部の趙立堅報道官は、「海は日本のごみ箱ではない。太平洋も日本の下水道ではない。日本の核廃棄水放出で全世界に尻ぬぐいさせるべきではない」などと激しく批判した。
また、「一部の日本の役人は、これらの水は飲めると言っている。ならば飲んでみてほしい、話はそれからだ」と続けた。
これは麻生副首相兼財務相の「(処理水は)飲んでも何てことはないそうだ」という発言に対する反論とみられる。
中国官製メディアの「環球時報」は、根拠を示していない憶測の記事を掲載した。同記事は、「日本は米国の支持を得て、この時期にそのような決断を下した。裏で米国と何らかの取引していることは排除できない」とし、「米国はアジア太平洋地域の大多数の国家と人々の利益と環境を無視している。その行為は国際社会から非難されるべきだ」などと矛先を米国にも向けた。
しかし、ラジオ・フリー・アジアによれば、中国側の非難はすぐにメディアによって反論されたという。
香港メディア、シチズンニュースは14日、中国の公式情報を調べたところ、同国にある49の既存の原子力発電所はいずれも核廃水を海に放出していることを発見した。香港からわずか50kmの距離にある中国・広東省の大亜湾原子力発電所だけを見ても、放射性物質「トリチウム」の排出規制基準は福島の基準の10倍に達するという。
中国の環境保護当局である「生態環境部」が2017年に発行した資料によると、合計6基ある大亜湾原子力発電所の年間液体トリチウムの排出規制基準の上限は、福島の将来の年間排出量の10倍にあたる225メガベクレルとなっている。
また香港核電投資(HKNIC)のデータによると、過去10年間、大亜湾原子力発電所から排出された液体トリチウムの年間平均排出量は上限の20%、つまり約49.5メガベクレルであることがわかった。これは日本政府が設定した基準の2倍以上である。
昨年末現在、中国は16の原子力発電所を有し、合計49基の商業炉が稼働している。香港の200km圏内だけでも、4基の原子力発電所がある。
ほかにも、中国の秦山原子力発電所が2008年に当局に申請した汚染水の年間液体トリチウムの排出上限は125メガベクレルに達しており、現在の福島の5倍以上である。
国家核安全当局の公文書によれば、当局はこの量は「許容できる」とし、承認している。
(大紀元日本ウェブ編集部)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。