インド外務省およびシンクタンクORFが開催する多国間フォーラム「ライシナ・ダイアローグ(Raisina Dialogue)2021」は13〜16日の日程でオンライン形式で行われた。緊迫が高まる台湾問題に対して、参加者の間で懸念が広がっている。
会議に参加した自衛隊制服組トップの山崎幸二統合幕僚長は15日、「台湾周辺で生じるいかなる不測の事態も日本の防衛に影響が出る」とし、「日本に対処措置はたくさんある」と述べた。
山崎幕僚長は、中国による台湾への嫌がらせについて、「東シナ海、尖閣諸島海域、台湾海域および南シナ海など、近年の日本周辺での中国(共産党)の行動は航行の自由の原則に違反している」と述べたうえ、「中国が今年から施行した『海警法』は国際法を弱体化させ、日本をはじめとする各国の利益を侵害し続けている」と指摘した。
また「中国による現状変更を試みるこれらの行動は非常に危険で、インド太平洋地域の不安定性をもたらすため、日本としては非常に懸念している。まったく容認できないことだ」と述べた。
さらに、中国は日本をはじめとするインド太平洋地域の国々の正当な利益を認めず、一方的に国際秩序を変え、地域の緊張を高めている」と中国側の行動を非難した。
「インド太平洋地域の安定のためには、ルールベースの秩序強化が必要だ。志を同じくする国々が協力しあい、(中共の)「グレーゾーン戦術」に反撃する必要があるため、日本は米、印、豪と協力している」と山崎幕僚長は述べた。
中国が台湾に対してどのような行動を取れば日本の「レッドライン」に触れるのかとの質問に対して、「台湾周辺で生じるいかなる不測の事態も日本の防衛に影響が出る」とし、「日本に対処措置はたくさんあるが、詳細は説明できない」と答えた。
同氏は、「台湾問題は中台自身で解決しなければならないが、日本もインド太平洋地域のメンバーとして、ルールに基づく国際秩序とインド太平洋地域の安定の維持に努めていく」としている。
山崎幸二統合幕僚長のほか、印国防参謀長ビピン・ラワット(Bipin Rawat)陸軍大将と豪国防軍司令官アンガス・キャンベル(Angus Campbell)陸軍大将、米ロッキード・マーティン社ティム・ケーヒル(Tim Cahill)上席副社長らも会議に出席した。
豪国防軍司令官のキャンベル氏は、「民主主義の時代では、衝突は最後の手段である」とし、「中台の将来は必ず平和的に解決されなければならない」と同国政府の立場を表明した。
キャンベル氏はまた、中国の「グレーゾーン戦術」が「領土を蚕食する」方法であると呼び、南シナ海で見られるそのような状況に対し、衝突せずに対応するのは、非常に困難だ」と明かした。
インド国防参謀長のラワット氏は、「私の(中国への)やり方に従え、さもなくば、他の方法はない」というメッセージを発し、世界秩序の再構築を試みる中国を批判した。
同氏はまた、「中国はハイテク技術の優位性を利用して、他の国を脅して、服従させようとしている」と指摘した。中国はネットを麻痺させたり、銀行、電力網、交通輸送、通信システムを崩壊させることが可能だとしている。
「中国は、インドがその技術的優位性の圧力に屈すると考えていたが、そうはならなかった。インドは(中国との)国境をしっかり守っている」と述べた。
(大紀元日本ウェブ編集部)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。