台湾を国扱い、ワイスピ最新作の俳優が中国語で謝罪 「頼まれた」圧力示唆か

2021/05/27
更新: 2021/05/27

映画「ワイルド・スピード」の最新作に出演したジョン・シナ(John Cena)氏は25日、台湾を国と呼んだことを中国の国営メディアに批判された数時間後に、中国語で謝罪する動画を公開した。

中国のソーシャルメディア(SNS)「微博(Weibo)」に投稿されたこの動画の中で、シナ氏は中国語で、「今はとても(「とても」を6回繰り返す)重要なのは、私は中国と中国人を愛し、尊敬していることだ。本当に、本当に申し訳ない」と火消しを図った。

なぜ中国語で謝罪したかについては、同氏は、批判を受けた後に多くの人から「中国語で中国人に謝罪してほしい」と頼まれたとし、「たくさんの取材を受けたが、ある取材でミスをしてしまった」と説明し、内部からの圧力があったことを示唆した。謝辞では、台湾や「ミス 」の詳細については触れなかった。

今月8日、シナ氏は台湾のケーブルテレビ局TVBSのインタビューで「台湾は『ワイルド・スピード』シリーズ9作目(『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』)を観ることができる最初の国」と語った。

中国国営の環球時報は24日、このインタビューのスクリーンショットを微博に掲載し、「民進党が統治する台湾は中国の省である」と言い張った。これをきっかけに、中国ではシナ氏に対する批判が拡散した。

また、シナ氏の謝罪を拒否する中国人ファンもいる。中国人ネットユーザーからは、「『台湾は中国の一部』って言わなきゃ」「中国市場と台湾市場のどちらを選ぶか」「謝罪は何の意味もない」などのコメントが寄せられた。

台湾は独自の軍隊、民主的に選出された政府、憲法を持っており、事実上の独立国である。しかし、中国共産党政権は「台湾は自国の領土である」と主張している。台湾との対決路線としては、これまでは浸透・介入によって統一を図ってきたが、近年では台湾に軍事的な圧力を高めている。

シナ氏の謝罪を受けて、ケン・バック米下院議員(共和、コロラド州)は大紀元に対し、「中国(共産党)による台湾侵攻の脅威は、インド太平洋地域全体の安全保障を大きく損なう」とし、「米国人は台湾の自治権を認めるべきであり、国際的な法と秩序を露骨に無視する国に屈するべきではない」と力説した。

 

 

マイク・ポンペオ前米国務長官は関連記事をリツイートし、シナ氏に対し、「ジョン、君は正しかった。なぜ中国共産党に頭を下げなければならないのか理解できない。私たちは台湾と共に、自由のために立ち上がらなければならない」と励ました。

「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」は5月21日、全米に先駆け中国で公開され、初日の興行収入が5910万ドル(約64億円)となり、週末には約1億3600万ドル(約148億円)を売り上げた。

台湾メディアによると、同映画の監督であるジャスティン・リンの出身地である台湾では、5月19日に世界初公開が予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった。

(翻訳編集・王君宜)