[ブリュッセル 3日 ロイター] – 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は3日、域内全体で利用できるデジタルIDウォレットの導入計画を発表した。携帯電話を使い、公共や民間のサービスを受けることを可能にする。
米アップルやアルファベット傘下グーグル、仏タレスや金融機関が提供するデジタルウォレットの人気が高まる中、EU主導で導入を進めることで、プライバシーやデータ保護を巡る懸念に対処する狙いもある。すでに14加盟国が独自のデジタルIDを導入している。
デジタルIDを使用すれば、銀行口座などへのアクセスだけでなく、ローンの申請や税金の確定申告なども可能となる。デジタルIDの利用は個人の利用で、義務化はされない。
ベステアー上級副委員長(競争政策担当)は「余分なコストや障害なく、全ての加盟国で自国と同様のサービスを受けられる」と説明。ブルトン委員(域内市場担当)も「高度なセキュリティーだけでなく、利便性も兼ね備える」と述べた。
デジタルID導入は、EUに最大96億ユーロ(117億ドル)の利益をもたらし、最大2万7000人の雇用を生み出す可能性があるほか、公共部門の温室効果ガス排出削減にも寄与する見通し。
9月22日までに、導入に向けた技術面での構造、運営上の基準や指針などを策定するという。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。