6月4日午後、日本政府から台湾に無償提供したワクチンが無事に台湾に到着した。台湾メディア「上報」4日付は、ワクチンが専用機に積まれる前まで、中国側は妨害工作を働いていたと報じた。同記事によると、岸信夫防衛相はワクチンが台湾に到着するまで見守っていた。
中国の妨害、最後の一秒まで続いた
菅義偉首相が2日、「COVAX(コバックス)ワクチンサミット」で台湾へのワクチン提供を進める方針を示した。記事は、その後中国が外交ルートを通じて圧力や妨害を続けていた、と述べた。
外交筋が明らかにしたところによると、中国側は「一つの中国の原則に反する」として、この行動のリスクを度々警告していたという。「人命がかかっているというのに、まだ『一つの中国』と言っているのか」と中国側の強硬な態度に日本側は呆れていたという。
同記事はまた、台湾へ無償提供した124万回分のワクチンを積んだ日本航空(JAL)のJL809便を追跡サイトで追跡したところ、東シナ海上空を飛行する同便を米空軍のMC-12W偵察機が沖縄の米軍基地からずっと追随しているというネット情報に言及した。
同便が無事台湾に到着すると、岸信夫防衛相はすぐにそのニュースをリツイートし、「無事に台湾へ」と投稿した。
記事は情報筋の話として、台湾へのワクチン寄贈計画を進めるなか、台、日、米の3国は、外交による圧力に失敗した中国が、「より強力な干渉行動」に出て、衝突を誘発すると懸念していたと報じた。
謝長廷・駐日代表、ワクチン無事到着は「最優先の使命だ」
4日に成田空港から日本寄贈のワクチンを見送った、謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表(駐日本台湾大使に相当)は、Facebookに一礼して日航機を見送る写真を添付した。
謝代表はまた、「この国は特殊な状況にある。ワクチンが飛行機に積まれる前まで、状況が変わる可能性があった。そのため、自分は最後まで秘密を守らねばならなかった。これらのワクチンが無事故郷に届けられるのを守ることが、最優先の使命であり自分の責任だ」と説明した。
謝氏は日本から台湾へのワクチン供給に関する情報を秘密にした理由について言及しなかったが、中国政府による圧力が関係しているとみられる。
王定宇議員、「中国は失うものが多い」
台湾の王定宇・立法委員(国会議員)は5日、「中国は人命、健康を政治的手段にしている、その手口は粗末な上、うんざりさせられるものだ」と述べた。
また、「日台の友情は中国の政治的介入に勝った、日本は『6月4日』の日付をあえて避けなかった。日台関係はこの先もっと良くなるだろう。中国はその悪行によって得るものよりも失うものの方が大きいかもしれない」と指摘した。
王氏は、「中国の圧力はワクチンを載せた専用機が飛び立つ前まで続いた。在日中国大使らは自ら日本外務省に出向いて抗議し、『ワクチンを下ろさせろ、できるだけ遅らせるように』と要求した」と中国の圧力工作の一部始終を語った。
日本、あえて中国のタブーに挑んだか
今回、ワクチンの輸送を担当した日本の航空機はJALのJL809便で、6月4日に台湾に到着した。
野党・台湾基進で新聞部(ニュース部)副主任を務める陳子瑜氏は、日本の輸送機の便名と出発日付を合わせると「8964」になる。これは中国が最もタブー視する日だ。しかし、この日が意図的に選ばれたことは実に興味深いと述べた。
2011年の東日本大震災後、台湾から200億円の義援金が送られた。昨年4月、中共ウイルス(新型コロナ)感染拡大を受けて、台湾は日本に約200万枚のマスクを寄贈した。
茂木外相は4日の記者会見で、「東日本大震災後に、台湾からいち早く多くの義援金を送ってもらったことは、鮮明な記憶として残っている。台湾との重要なパートナーシップや友情を踏まえて、今回の提供だ」と述べた
蔡英文総統は、「言葉では言い尽くせないほど感謝している」「価値観の共有に基づき、互いを信頼し助け合うという『台日友好』の真髄を改めて目にした」と自身のツイッターで発信した。
台湾外交部は「台湾と日本のパートナーシップが『患難見真情(まさかの時の友こそ真の友)』であることを改めて証明した」と感謝を表した。
台湾の頼清徳副総統も、「日本は台湾の真の友人」と述べた。
(大紀元日本ウェブ編集部)
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