中国当局、米軍機の台湾入りに沈黙 かつて「米中開戦」と威嚇

2021/06/08
更新: 2021/06/08

米上院超党派議員団を乗せた、米空軍のC-17大型輸送機(C-17 Globemaster III)が6日、台北松山空港に到着し、中国台湾で注目されている。中国当局は昨年、「米軍機が台湾に離着陸するときは米中開戦の時だ」と官製メディアを通じて威嚇したが、今回の米軍機に触れなかった。

中国外務省の汪文斌報道官は7日の記者会見で、米上院議員らの訪台に「断固として反対する」と述べた。こうした立場を米側に厳正に申し入れたという。しかし、米軍機への言及はなかった。国営新華社通信などを含む官製メディアは米議員らの訪台について報道しなかった。

台湾と中国大陸のネットユーザーは、米空軍C-17輸送機が台湾に到着したことに強い関心を寄せている。

ネットユーザーは、中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報が昨年8月に掲載した社説を探し出し、「なぜ今回、中国当局は黙っているのか」と書き込んだ。

環球時報は昨年8月31日、米海軍の電子偵察機EP-3Eが台湾本島から離陸した疑いがあるとして、『蔡英文当局に決定打となる警告を発する必要がある』との社説を公開した。

記事は「これは大陸(中国共産党)が国家統一を維持していくというレッドラインを越えた」と示し、「大陸(中国共産党)が確かな証拠を掴めば、関連空港および着陸した米軍機を破壊できる。これによって、台湾海峡の戦争開始になるだろう」と主張。

中国人ネットユーザーはSNS上で、今回米軍機の台湾着陸に関して中国当局が沈黙を貫いていることに不満を示し、「輸送機にはっきりと『US Air Force』と書かれているのに」「確かな証拠は今あるよ」「レッドラインの基準は変わったのか?」などと批判した。強硬派のネットユーザーは「米軍機を撃墜せよ」と主張した。

いっぽう、台湾人ネットユーザーは「中国側のミサイルが全部壊れたんじゃないの?」「反米は仕事だけど、米国に移民するのは生活のためだということだ」とあざ笑った。

「宣戦布告」した環球時報が6日午後に発表した社説は、米軍機について触れず、米議員と米政府の台湾へのワクチン提供について批判を展開した。

米空軍のC-17大型輸送機は、世界各国の米空軍主要基地に配置されている。同軍機は、77.5トンの貨物搭載ができる。米陸軍のM1エイブラムス戦車1両、またはM2ブラッドレー歩兵戦闘車3両などを搭載できる。また、全装備した兵士や、負傷者と医務官らを空輸できる。

ブルームバーグ7日付によると、米国防総省元高官のドリュー・トンプソン(Drew Thompson)氏は、米議員がC-17輸送機に乗り台湾を訪問したのは、台湾を支持する姿勢を表すためだとした。「今回の訪問は、米国が台湾海峡の安定に注意を払っていることを台湾の蔡英文総統に伝え、安心させたいためだ。同時に、台湾に自己防衛の必要性を促すためでもある」と同氏は指摘した。

米上院のタミー・ダックワース(Tammy Duckworth)議員ら3人は6日、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染が急拡大した台湾に到着した。議員らは、米政府が今後台湾に対して、中共ウイルスワクチン75万回分を提供すると発表した。議員らは約3時間、台湾に滞在し、蔡英文総統らと会談した。

(翻訳編集・張哲)