NATOのストルテンベルグ事務総長が7日、ホワイトハウスでバイデン米大統領と会談した。写真は会談後に行われた記者会見の様子。(Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)

NATO事務総長、バイデン米大統領と会談 中国は「価値観共有しない」とけん制

北大西洋条約機構NATO)のストルテンベルグ事務総長が7日、ホワイトハウスでバイデン米大統領と会談した。ストルテンベルグ事務総長は中国NATOが直面する一つの脅威としつつ、中国は「われわれと価値観を共有しない」と会談後の記者会見で述べた。そのうえで、中国と対抗するため、NATOや主要国と連携する必要があるとした。

ストルテンベルグ氏は、中国共産党による人権侵害についても触れた。「中国(共産党政権)が香港の民主的な抗議デモ者達をどのように妨害しているか、ウイグル族をどのように扱っているか、近隣諸国をどのように追い詰めているか、台湾をどのように脅しているかを目にしている」と見解を述べた。

2019年5月、同盟国の国防長官によって構成されたNATO軍事委員会は、NATOの2番目の軍事戦略文書 「戦闘キャップストーン・コンセプト(Warfighting Capstone Concept)」に署名した。最初の文書は1960年代の「欧州大西洋地域における抑止と防衛(Deterrence and Defense of the Euro-Atlantic Area、DDA)」であり、このなで、ロシアと国際テロリズムを脅威とみなしている。

いっぽう、欧州において中国の脅威はロシアや国際テロリズムと同列視するに至っていない。欧州諸国の一部は、中国DDAにおける「脅威」として明言するのを避けている。これは、中国が欧州の直接の軍事的な脅威ではなく、顕在化していないことを理由している。こうした国は、NATOは現時点で中国を対処する必要がないと主張している。

先日、NATOが発表した報告書『NATO 2030』によると、同盟国は、大国間競争に適応するために努力する必要があるとした。いっぽうで、中国については「現在のところ、欧州・大西洋地域に対する直接的な軍事的脅威ではない 」と主張している。

米陸軍士官学校戦略研究所のジョン・R・デニ(John R. Deni)教授は、こうした視点は、現状に合致しておらず「明らかに間違っている」と指摘する。

デニ教授によると、ヨーロッパの安全保障に対する中国の脅威は、知らぬ間に進行している。例えば、中国は新たに武器などを開発する際に、ヨーロッパから防衛関連の知的財産を盗み、自国の軍事・防衛産業で利用することによって、欧州の軍事力を低下させている。同様に、中国がヨーロッパにおけるインフラ(特に船荷ターミナル、公益事業、通信ネットワーク)に投資し、それらの施設はNATOの軍事活動情報を収集するための良いプラットフォームとなると指摘した。

また、ヨーロッパの安全保障に対する中国の脅威は、様々な形で表れている。中国からヨーロッパ政府や工業、軍事、学術、市民団体に対するサイバー攻撃、パンデミックの際には病院へのサイバー攻撃もあったと言われている。2014年にNATOは、サイバー攻撃が集団防衛条項(第5条)の発動のきっかけとなる可能性があると宣言した。

NATOが直面している安全保障問題の中に、一部の同盟国はロシアの脅威が第一位だと認識している。しかし、中国は北米やヨーロッパに対して攻撃を繰り広げた結果、NATOにとって実質的な軍事脅威となっている。6月14日のNATO首脳会議において、「欧州大西洋地域における抑止と防衛(DDA」という概念が再び議論され、中国に対してどう対応すべきかが議題になるとデニ氏が指摘した。

同月14日、ブリュッセルで開かれるNATO首脳会議では、中国ロシアの脅威を念頭にNATOが抱える課題を議論する予定だ。中国の脅威に対して、バイデン政権とNATOが結束を示すとみられる。

(翻訳編集・蘇文悦)