2020年4月8日、北京で行われた記者会見の後、メモをまとめる中国外交部の趙立堅報道官(Greg Baker/AFP via Getty Images)

中国報道官「武漢の研究者にノーベル賞」と発言 「恥知らず」被害者が批判

新型コロナウイルスが武漢ウイルス研究所から漏洩した可能性について、より厳しい調査が世界から求められている中、中国外務省の趙立堅報道官は、同研究所の研究者はノーベル賞受賞に値すると主張した。

趙報道官は6月18日の記者会見で、同研究所の科学者たちは新型コロナウイルスのゲノム配列を最初に特定したが、「だからといって、武漢がウイルスの起源であるわけでも、中国の科学者がウイルスを作ったと推測することもできない」と述べた。

「ウイルスのゲノム配列を最初に発表した研究者がウイルスを作ったと非難されるなら、HIVを最初に発見したリュック・モンタニエ教授はノーベル賞どころか、エイズの犯人と見なされるべきだ。細菌を発見したルイ・パスツール氏は病気を引き起こすバクテリアに関して世界中で責任を問われることになるだろう」と彼は話した。

彼は前例を踏襲するなら、「武漢のチームは、新型コロナウイルスの研究を批判されるのではなく、ノーベル医学賞を授与されるべきである」と主張した。

しかし、台湾国防安全研究院で国防戦略・資源研究所の所長を務める蘇紫雲氏は、趙報道官の発言を「真実を隠そうとする不器用な試み」だとした。

蘇氏は大紀元に対して、モンタニエとパスツールはウイルスと細菌を作ったわけではなく、新型コロナウイルスに関しては、証拠に基づいた判断が必要だと語った。

同氏は、現在の証拠を見る限り、ウイルスの起源として最も可能性が高いのは、研究室からの漏洩だと付け加えた。

WHOが主導する調査委員会は、同研究所からの漏洩は「極めて可能性が低い」としたが、専門家らはWHOによる調査の独立性に疑問を呈した。

蘇氏は「さらに証拠が出てくる可能性が高い」と述べた。「海外が感染源だとしたら、海外でもっと大規模に発生していたはずだ。どうして武漢で感染が爆発したのだろうか?これは自然な理屈に反している」

武漢ウイルス研究所には、中国初のP4研究室がある。P4は最高のバイオセーフティ指定であり、世界で最も危険な病原体を取り扱うことができる。同研究所は、中国政府が最初にウイルスの感染源と特定した同市の華南海鮮市場からわずか数キロのところにある。

パンデミックの初期に、同研究所から誤ってウイルスが漏洩した可能性はすぐに否定されたが、ホワイトハウスや著名な科学者による新たな調査、そしてパンデミックが始まる前に同研究所のスタッフが病気になっていたことなどが明らかになり、ウイルス起源の議論が再燃している。

「黒いものを白と言っている」

中国在住の張海さんは、中国当局のパンデミック対応の遅れが原因で父親が亡くなったとして、当局を相手取って訴訟を起こしている。彼は、趙報道官は「黒いものを白と言っている」と述べた。

張さんは大紀元に対して、「彼(趙報道官)の発言は、武漢のウイルス犠牲者たちの命に関心が無いことを示した」と語った。

「私はこの国をとても愛しているが、だからといって善悪の区別がつかないわけではない」と彼は言った。「犯罪は犯罪だ。言論をコントロールしているからといって自由に何をしてもいいのか?私は絶対にそう思わない」

パンデミックが世界に与えた損害を考えると、「本当に罪の証拠があるのなら、戦争犯罪の責任を問われるべきだ」と彼は語り、趙氏のノーベル賞発言を「恥知らず」と呼んだ。

中国政府は、西側諸国がウイルスの起源調査を政治化したと非難しているが、張さんはそれは「自信の欠如」の表れだと述べた。

「下手なうそは逆に真実を明らかにする」と彼は話した。「中国は非難されるべきではないと言うのなら、世界各国の研究者による独立調査を許可すべきだ」と彼は話した。また、批判者への弾圧が続いていること、華南海鮮市場で証拠隠滅が行われたこと、および独立した調査が拒否されていることは、疑惑を深めているだけだと述べた。「現在でも、武漢での新型コロナウイルスによる死亡者数は公表されていない」

「中国人には本当の言論の自由がないが、だからといって私たちが馬鹿だというわけではない」と彼は述べた。「自国民に対してさえ親切にできない政府は、どのような政府なのかを物語っている」

張さんは当局を相手取った訴訟のために、ほぼすべての中国のソーシャルメディアから検閲されているが、それでも彼は訴訟を辞めないという。

「彼らが私を抑圧しようとすればするほど、私は声を上げるだろう。それだけのことだ」

(大紀元日本ウェブ編集部)