中国共産党が最も恐れる芸術公演?

2021/07/03
更新: 2021/07/03

息を呑むような踊りと音楽で中国の伝統文化をステージ上で蘇らせる神韻芸術団。中国共産党にとって、この伝統文化の人気の高まりほど恐ろしいものはない。

それも無理はない。ニューヨークに拠点を置く神韻芸術団の使命は、5千年に及ぶ中国の伝統文化を復興させることだ。それは「天・地・人」の調和を中心とし、神から受け継がれてきたといわれる古来の文化だ。そしてそれは、中国共産党が発足以来ずっと破壊してきたものでもある。

神韻芸術団の司会者ジャレッド・マドセン氏は、「もちろん、(神韻は)ブラックリストに載っています」と語る。「人々が中国共産党以外の何かが存在し、それを超える何かがあると信じるようになったら…それは中国共産党にとって大きな脅威です」

そのため中国共産党は、神韻芸術団のツアーバスのタイヤを傷つけたり、ネットの荒らし屋を大量に雇い、ソーシャルメディア上での評価を下げたり、現地の中国領事館を利用して、神韻芸術団の公演を許可すると中国との関係が損なわれるとの手紙を各地の議員に送ったり、劇場に電話をかけ、公演中止を要求したりするなど、あらゆることを行ってきた。このような妨害行為は10年以上前から行われておいるが、実際にはしばしば逆効果となっている。

神韻は政治的な公演ではないので、このような妨害行為は極端に思えるかもしれない。神韻の公演は中国古典舞踊、中国50以上の少数民族の民族舞踊、ベルカントのソロ、東西の音楽を融合させたオーケストラの生演奏から成っている。公演を見た観客は劇に高揚し、中国の本物の文化について知って喜ぶ。本物の中国文化は、中国共産党がこれまで消し去ろうとしてきたため、外国ではほとんど知られていない。

「根本的に、中国共産党は無神論の政権です。神韻は5千年続く中国の文化を反映しており、それは道教、仏教、儒教などあらゆるタイプの神の思想に根ざしています。これらは共産党の無神論とは相反するものです」とマドセン氏は語る。

中国共産党が神韻を恐れているのは、神韻が共産主義が生まれる前の中国の姿を表現しているからだ。

神韻芸術団の司会、ジャレッド・マドセン氏(神韻芸術団)

伝統文化とは

中国共産党が神韻芸術団を妨害するために使ってきた手法の1つは、独自の芸術団体を設立し、世界中に送り込むことだ。

「彼らはたくさんの芸術団をを作り、アメリカに送り込んできました。でもそれらの芸術団を見かけたことがありますか?」とマドセン氏は話した。「ないでしょうね。彼らの公演は人気がないからです。なぜでしょうか?誰も共産主義のプロパガンダを見たくないからです」近年、党のやり方は進化しており、「伝統文化」を宣伝したり、主要芸術団体に「古典」舞踊を強調させているが、口先だけのものだ。

「伝統的な中国文化を宣伝するとき、彼らはそれを共産主義を促進するために使います。人々はすぐにそれに気づき、『これはプロパガンダで、誰もこれを見たくない』と思うでしょう」とマドセン氏は話した。

中国の主要な芸術団はすべて国営である。神韻のヴァイオリニスト兼ソロイストの黄鵬氏は、中国とアメリカのアーティストはまるっきり違うと語った。

黄氏は以前、ヴァイオリニストとしての輝かしいキャリアを持っていた。幼少の頃から父に教わり、有名なフィルハーモニー管弦楽団のオーディションに合格した。

しかし1999年、中国共産党は法輪功に対する迫害を開始し、法輪功を放棄しない者の生活と名声を破壊するよう公式に命じた。法輪功は「真・善・忍」を教える精神的修煉法で、その学習者の数は当時中国で1億人と推計されており、黄氏もその一人だった。他の多くの法輪功学習者と同じように、彼も信仰を諦めず、同僚や周りの人々に法輪功の真実を伝えようとした。法輪功は良いものであり、人々に親切にすることを教え、中国共産党は法輪功ついてあからさまに虚偽で中傷的な情報を流していると伝えた。

ある日、黄氏が仲間の音楽家たちに法輪功のことを話していると、楽団のあるリーダーが彼を警察に通報した。警察は彼の家を引っかき回し、彼を24時間拘束して睡眠を与えなかった。その一方で、警察は彼の母親を不法に逮捕した。その唯一の理由は、法輪功の信仰を諦めて中傷する文書に彼が署名するよう強要するためだった。

黄氏は文書への署名を断り、楽団を首になった。

最初に考えたのは、別の都市で仕事を探して再出発することだった。しかし、空港に行くとフライト禁止のブラックリストに載せられていた事が分かり、再び拘束された。しかし今回、黄氏は「転向クラス」に入れられた。つまり洗脳する所だ。彼はその後2カ月間、外部の世界を見ることはなかった。

中国共産党が法輪功学習者などの信仰集団を残忍に拷問し、生きたまま臓器を摘出していることについては、多くの記録が残っている。しかし黄氏の拷問は精神的なものだった。彼は24時間監視下に置かれ、洗脳動画を見させられ、無数の方法で脅迫された。重圧の下で、彼は文書に署名した。「家に帰ると、心の中にナイフが刺さっているように感じました」と黄氏は述べた。この精神的迫害は彼に最もしたくないことをさせ、彼の誠実さを奪った。

彼はその後の数年間、逃亡生活を送った。後悔の念に負けず、法輪功の真実伝えるビラの作り方を独学し、他の人たちにも教え、それによって再び違法逮捕の危険にさらされた。黄氏は音楽を捨てなければならなかった。彼と父は失望したが、彼にとって自分の信仰はそれよりも大切なものだった。

彼は2008年に神韻芸術団のことを知り、2014年に国外に出て、憧れていた同芸術団のオーディションに合格した。

「中国本土では法輪功学習者は舞台出演ができません。しかしここには信仰の自由があります。これは芸術家としてとても重要だと思います」と彼は語った。

でもどうして神韻なのか、彼はこう語る。

「神韻の使命は、中国5千年の伝統文化を復活させることです」と彼は話した。「それは神に触発された文化であり、神のメッセージです。そしてそれは善良なメッセージであり、人々の心を動かすことができます」

神韻芸術団のヴァイオリニスト、黃鵬氏(神韻芸術団)

真実は勝つ

神韻芸術団は、世界各地からやってきた中国出身のアーティストたちが、母国ではできなかったことをするためにニューヨークに集まって結成された。

中国共産党がその影響力と国家機構全体を利用して神韻の信用を落とそうとしているにもかかわらず、神韻は世界的な現象になっている。

「2009年のある夜のことを覚えています。神韻が3つの芸術団だった頃です。電話がかかって来ました」とマドセン氏は語った。「3つの公演がすべて売り切れました。それが転機点でした。それ以来、私たちの公演は通常、満席になっています」

現在、神韻芸術団には世界を同時にツアーする7つ芸術団があり、世界100以上の都市で年間数百回の公演を行っている。中国の伝統文化の保存だけでなく、復興にも力を入れている唯一の芸術団だ。多くの絶賛レビューに興味をそそられた観客は、「世界最高の中国古典舞踊芸術団」をステージ上で見たいと思わずにはいられない。

神韻がユニークなのは、毎シーズンに十数本の新しい振り付けのダンスを制作し、オペラハウスの最も豪華な作品に匹敵する本格的な公演だという所だ。それは観客の期待を超えるものになるだろう。

「プロダクションは信じられないほど高いクオリティーです」とマドセン氏は話す。「それだけでも、本当に夢中になれるショーです」

神韻の美しい衣装、オーケストラの生演奏、そしてユニークなバックスクリーンは目を見張るものがある。その一方で、観客は公演を見てより深いものを得るとマドセン氏は考える。

「人間の絶え間ない探求。それはより偉大で、大きく、より良い何か。それだけでなく、より深く、高いレベルの何かを私たちは探し求めています」と彼は語った。「私たちの公演は、その全てを表現し、現実のものにします。公演が持つ深い価値観は、文化的な公演の域を超えています」

(大紀元日本ウェブ編集部)

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