アリババの馬雲氏、銀行融資でジェット機購入との報道 専門家「中国の富豪は偽物」

2021/07/09
更新: 2021/07/09

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は2日、中国電子商取引最大手アリババ集団の創業者である馬雲(ジャック・マー)氏と同社の蔡崇信(ジョセフ・ツァイ)副会長は、プライベートジェット機や高級住宅、フランスのブドウ園などを購入するため、海外の銀行からローンを組んだと報道した。専門家は、中国の億万長者は自らの資産を支配する権利がなく、「偽の富豪」であると指摘した。

FTの報道によると、アリババ集団の大株主である馬氏と蔡氏は、保有する同社の株式から一部を担保にして、UBSやゴールドマン・サックス、クレディ・スイスなど欧米投資銀行の融資を受けた。昨年12月時点で、2人はアリババ集団の5.8%株式を保有する。時価総額では計350億ドル。2人は、オフショア企業を通じて、アリババ集団の株式を保有している。両氏はまた、オフショア企業を介して、欧米の金融機関に対してアリババ集団の株式を担保に入れた。

アリババ集団の担当者はFTに対して、馬雲氏と「その関連会社」は現在、アリババ株を担保にしたローンの残高は抱えていないとした。

銀行関係者は、株式担保は、中国の経営者にとって現金を調達するための一般的な方法だと指摘した。これによって、会社の支配権を失ったり、あるいは株式を売却して市場にネガティブなシグナルを送ったリすることはないからだ。同関係者は「株式の担保は銀行にとって良い商売である」「これらの創業者は帳簿上ではお金持ちに見えるが、実際に持っている現金は少ない」と話した。

報道は、株式を担保に入れることは、銀行が株式を融資の担保として受け入れたにも関わらず、借り手は依然として株式の所有権を持つというリスクがあると指摘した。「米企業の多くは、幹部に対して株式を担保に入れることを規制している」という。ローンの返済をめぐって、担保に入れた株式が強制的に売却された場合、企業の株価が急落する恐れがあるからだ。

同紙が入手した文書では、両氏は海外の銀行から受けたローンの金額について明示しなかったという。2014年にアリババ集団が米株式市場に上場してから、馬氏らは複数回、株式を抵当に入れた。

米国人時事評論家、アンダース・コール(Anders Corr)氏は、大紀元英語版への寄稿で、FT紙の同報道に関して、中国の富豪は偽物の富豪だとの見方を示した。

コール氏によると、2017年以降、馬氏と蔡氏は株式市場でそれぞれ50億ドル以上の株式を現金化した。「これらの現金はどこにあるのか?中国共産党の許可がなければ、現金を取り出せないのだろうか。馬氏らは本当にこれらの資金を持っているのか」と疑問を呈した。

コール氏は、米著名投資家のカイル・バス(Kyle Bass)氏の話を引用し、馬氏らが「欧米の金融機関にお金を借りて、贅沢な生活を維持しなければならない」という事は、「彼らが株式を売却して得た現金は、中国共産党政権に奪われた可能性が高い」とした。

昨年10月、馬雲氏は公の場で、中国当局に対して金融システムの改革を行う必要があるとし、中国共産党の規制や制度は企業のイノベーションを阻害していると批判した。

「これ以降、馬氏は約3カ月の間、表舞台に現れなかった。中国の証券当局は同年11月、アリババ集団傘下のアントグループの総額370億ドル規模にのぼる上場計画を停止した。これは史上最大規模の新規上場計画だと予想されていた。12月になると、規制当局は、独占禁止法に違反したとしてアントグループに再編を命じた。同社の資産評価は数十億ドル下がった」

コール氏は、中国当局のアリババ集団に対する締めつけは「誰がボスなのかを世界に示そうとしている」と指摘した。「中国の億万長者は真の億万長者ではない、と言いうことが明らかになった」とした。

同氏は、中国の「億万長者」は企業を経営・管理する権利がなく、自らの資産を管理することもできないと指摘した。「正確に言うと、彼らは中国共産党の資金管理係だ」

コール氏によれば、米イエール大学は2016年、蔡崇信氏から3000万ドルの寄付金を受け取った。また、ハーバード大学は14年、中国当局とつながっている別の億万長者から3億5000万ドルの資金を提供された。

「これらの大学は、資金源について聞かなければならなかった。トップレベルの学術機関はこれらの問題に注意しなければ、私たちは学術機関が中国当局に関して偏りのない情報を提供していると信じられないだろう」

馬雲氏は中国共産党員であるとすでに報じられた。

(翻訳編集・張哲)