中国当局は国民の思想・文化への統制を強めている。文化観光部(省)は7日、カラオケボックスなど娯楽施設で歌われる楽曲の歌詞の中に、「国家安全に危害を加える」などの内容が含まれる歌を禁止するとの通達を公表した。
通達は、全国のカラオケボックスなどで歌われる曲目を管理し、禁止する曲名のリストを作成するよう各地の地方政府に命令した。中国当局はまた、カラオケ機器の生産メーカーや各地の娯楽施設に対して、歌の内容を自己検閲するよう要求した。
当局は、歌うことを禁止する曲についての基準を9項目発表した。「国家統一に危害を加える」「国家安全保障に危害を加える」「国家の栄誉を傷つける」「民族感情を傷つける」などのソングは完全に禁じられる。
山西省の音楽評論家、秦氏は9日、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対して、中国当局は「思想・文化分野への締め付けで、国民に対する洗脳を強めようとしている」と批判した。
同氏によると、当局に禁止される歌の多くは民主主義や人権などをテーマにした内容だ。「実は数年前、中国のカラオケボックスでは(ロック・アーティストの)崔健氏や、(ロック・バンドの)Beyondの歌など、(共産党体制に)批判的な歌は非常に人気があった」という。
中国当局は通達で、娯楽施設に法令で禁止されている歌を使わないよう要求した。また、ミュージック・ビデオや曲選びに自己検閲を行ったメーカーのカラオケ機器を使うよう命じた。
中国政府系メディアの報道では、文化観光省は全国のカラオケボックスで歌われる曲目を審査する専門家チームを立ち上げる計画だ。
湖南省に住む学者の田氏は、同通達は現在、国内の政治情勢が不安定であることを反映したとRFAに語った。
「中国社会が不安定となれば、中国当局はその統治を強固にするために様々な措置を講じる。『文攻武嚇(言葉で攻撃し、武力で威嚇する)』のうちの『文攻』は各分野において、国内外でプロパガンダを行い、世論を支配することである。権威主義体制が人々の思想をコントロールする手法だ」
時事評論家の孫家林氏は、中国当局はこのほど、歌だけでなく、ダンスや文学作品などにも検閲を強化していると示した。
(翻訳編集・張哲)
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