「これは何か、手紙とか…」陸自や消防、警察 汗と泥にまみれながら 熱海で捜索活動

2021/07/21
更新: 2021/07/21

静岡県熱海市で7月3日に発生した土石流で、自衛隊や警察、消防の災害部隊が今もなお行方不明者の捜索を続けている。各部隊は同日に県からの要請を受けて以降活動を続けており、すでに18日間に及ぶ。

土石流は、熱海市伊豆山地区の逢初川の標高約390メートル地点から、海岸に向かって2キロに渡りすべり落ちた。被災した範囲は最大幅約120メートルにわたる。建物被害は130棟程度だ。

静岡県によれば、この土砂災害による死者は20日17時までで19人、行方不明者は9人となっている。351人が地域のホテルに避難している。


静岡県の災害派遣などを担当する陸自第34普通科連隊(板妻駐屯地)公式のソーシャルアカウント@JGSDF_ITAZUMAは、湿度が高い環境のなか、泥と汗にまみれながら、懸命に作業を続ける隊員たちの様子を伝えている。時にはバケツリレーで泥をかき出し、ある時には重機を操ってガレキや土砂の除去を行う様子が写っている。

ソーシャルサイトでは、毎度の投稿に対して、現場の隊員たちに対する感謝やねぎらいのコメントが数百あまり書かれている。「マスクから汗がしたたり落ちていますね。酷暑の中、感染対策しながらの捜索は想像を絶する厳しさだと思います」、「少しずつ人々の感心が薄れてきている中でも、ひたすら頑張られている姿、本当に涙がでます」、「これを当たり前だと思ってはいけない。自分を律しなければ」などと綴られている。

12日に板妻駐屯地のアカウントが公開した動画には、若い隊員が泥にまみれた文書やノートの束を見つけ、胸に抱えて次の隊員に手渡す様子が収められている。「これは何か、手紙とか…」と伝えている。

引き続き警察・消防・自衛隊などによる安否確認と行方不明者捜索が続いている。防衛省によれば20日現在、陸自第34普通科連隊(板妻)、第32普通科連隊(大宮)、第1施設大隊(朝霞)などから派遣された約770人が活動を続けている。被災現場では約340人、重機16両を投入し、警察・消防と連携して人命救助活動等を実施している。

消防庁によれば、3日からの活動で静岡、東京、神奈川から派遣された緊急消防援助隊ら500人が参加し、一連の救命活動で47人を救出した。

泥をスコップでかき出す消防隊員たち、14日撮影(総務省消防庁)

(佐渡道世)
 

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