Facebook、中国から年間5000億円の収益 政府や国営メディアも顧客=米メディア調査

2021/08/04
更新: 2021/08/04

Facebookは、中国で利用禁止になっているにもかかわらず、間接的な方法で中国から毎年数十億ドル相当の広告収入を得ている。米デジタルニュース誌「ザ・ワイヤー・チャイナ(The Wire China、TWC)」が1日に報じた。

調査会社Pivotal Researchのアナリストであるブライアン・ワイザー(Brian Wieser)氏は2018年5月、Facebook広告主の請求先住所を用いて分析を行い、Facebookが中国から年間約50億ドル(約5500億円)以上の収入を得ていることを明らかにした。

TWCによると、広告ソースは「ゲーム開発会社、大手ECサイト、アプリ開発会社、政府機関」など。こうした互恵的な関係により、「Facebookは中国市場へのアクセスを得て、中国企業はFacebookを通じて世界中の消費者にアプローチできる」という。

Facebookは、中国での事業活動について情報をほとんど開示していない。2020年の年次収益報告で、Facebookは「消費者向けのサービスがブロックされたり制限されたりすることはあるが、限られた数の中国の広告会社から意味のある収益を得ている」と述べていた。Facebookは2018年以降、財務報告書に同様の文言を用いている。

TWCは、「Facebookが中国での事業を秘密にしてきたのは、米国政府が国家安全保障上の脅威とみなす中国企業や、フェイクニュースを流していると非難されている共産党系メディアと取引しているからである」としている。

TWCの独自調査によると、Facebookは中国で11の「広告代理店」と11の「プレミアムパートナー」を通じて、中国のクライアントに広告を販売している。

TWCは、中国の大手広告代理店「ミート・ソーシャル(飛書深諾、MeetSocial)」を例に挙げている。同社は自社のホームページで「中国最大のFacebook代理店」と説明している。

ミート・ソーシャル社の創業者兼最高経営責任者(CEO)であるチャールズ・シェン(Charles Shen)氏は、2019年2月、米ニューヨーク・タイムズ紙に、同社がFacebook上で1日に約2万件の広告を掲載し、2019年にはFacebookとInstagramでの広告売上が10億~20億ドルに達する見込みであることを明らかにした。

このような広告代理店を通じてFacebook広告を購入している中国のクライアントには、動画投稿アプリTikTokの親会社であるByteDance(バイトダンス)など大手ハイテク企業のほか、共産党のプロパガンダ機関である環球時報(Global Times)、中国中央テレビ(CCTV)、米制裁対象の中国の国有通信最大手である中国移動(チャイナ・モバイル)などが含まれている。

これらの収益は、明らかに中国当局の承認を得ている。しかも、中国当局自身が、購買意欲が旺盛なFacebookの顧客である。

TWCは、2014~20年の間、中国の政府機関が民間企業と締結した553件の海外ソーシャルメディア広告取引契約を分析した。その結果、多くの契約で、Facebookが理想的な広告プラットフォームとして指定されていることがわかった。中国当局は、他の外国のソーシャルメディアと比べて約2倍の割合で、Facebookを海外宣伝に利用しているという。

Facebookでの宣伝の多くは観光関連である。2017年、山東省当局はFacebookのオーディエンス分析ツールを使って、「冒険やビール好きなオーストラリア人」などのユーザー群を対象に、「新たな視点で中国の美しさを見よう」という広告を掲載した。

しかし、これらの広告は時に政治的な色合いを帯びている。例えば、福建省党委員会宣伝部は契約で、福建省の「政治、経済、社会、文化、生態の発展」を紹介することや、「誤解を解き、悪意のあるヘイトスピーチに反論し、外国人視聴者向けに正しい情報を提供する」ことを要求した。これらの広告は、その政治的関連性を開示していないことが多い。

(翻訳編集・王君宜)

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