[カブール/ワシントン 11日 ロイター] – 米国防当局者は11日、アフガニスタンで反政府武装勢力タリバンが勢力を拡大する中、首都カブールが90日以内に陥落する恐れがあるとの認識を示した。米情報機関の分析を基に述べた。
月末の駐留米軍撤退の完了を控え、タリバンは猛攻を続けており、欧州連合(EU)高官によると、タリバンはアフガン領土の65%を支配。11州都がすでに制圧、もしくは制圧の瀬戸際にあるという。11日には北東部バダフシャン州の州都ファイザバードが制圧され、8つ目の州都陥落となった。
米国防当局者は、タリバンによるカブール制圧の可能性について「不可避の結果ではない」とも述べ、アフガン治安部隊が抵抗を強めれば形勢を逆転できると強調した。
米国務省のプライス報道官はタリバンによる攻撃について、米国とタリバンによる2020年和平合意の精神に反していると指摘。
タリバンが「恒久的かつ包括的な停戦」につながる和平交渉にコミットしたにもかかわらず、「戦場での勝利を模索していることがあらゆる兆候で示されている」と批判した。
また「州都を攻撃し、民間人を標的にするのは合意の精神に反する」と述べた。
国連によると、民間人の死者は過去1カ月間で1000人を超えている。タリバンは民間人を標的にはしていないとして、独立した調査を求めている。
ホワイトハウスのサキ報道官は、タリバンによるカブール制圧の可能性についてコメントを控えた上で、「アフガン国内における治安情勢の悪化を注視している」とし、米軍撤収計画に変更はないと強調した。
さらに、アフガン国軍が反撃に必要な支援を米国から受けているという認識を改めて示し、「反撃する政治的意志や一丸となる能力があるか」はアフガンが決定する必要があると述べた。
カタールの首都ドーハでは、アフガン和平に関する協議の行き詰まりを打開しようと、米国や中国、ロシアなどの代表がタリバンとアフガン政府の交渉担当者と会談した。
プライス米国務省報道官は、和平協定の必要性について国際的な合意作りに取り組んでいると述べた。タリバンはタジキスタン、ウズベキスタン、イラン、パキスタン、中国との国境付近を制圧しており、地域の安全保障を巡る懸念が高まっている。
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