コロナ流行から核開発問題まで 印太を歴訪した米国上級外交官ら、提携を強調

2021/08/14
更新: 2021/08/14

いまだ収束を見ない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックから北朝鮮の核開発問題に至るまで、多くの脅威に米国が直面する中、「米国は提携諸国と協力して救命活動に勤しみ、繁栄・発展を推進する」という共通目標の促進を目指して、2021年7月に米国防長官と上級外交官がインド太平洋諸国を歴訪した。

米国国防総省がニュースリリースで発表したところでは、米国はパンデミック対策に関して酸素生成装置、検査装置、人工呼吸器、個人用保護具(PPE)、ワクチン保存用冷蔵庫などの重要物資を同地域に早急に供給することに取り組んでおり、被害の大きいインド太平洋地域には後方支援と移動診療所も提供している。

ロイド・オースティン(Lloyd Austin)米国防長官がシンガポールで行った演説では、現在、米国はワクチンも供給している。 オースティン国防長官は、「来年中に世界各地にワクチン5億回分を供給することを誓約した[ジョー・]バイデン政権は、インド太平洋を最優先地域と考えている」とし、「ご存知の通り、過去2ヵ月の間に米国はインドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、韓国、台湾、タイ、ベトナムなどの地域一帯に3,000万投与分を上回るワクチンを供給した」と述べている。

シンガポールに所在する国際戦略研究所(IISS)主催の年次会議における講演「第40回フラートンレクチャー」を行った同国防長官は、同地域に対する米国の取り組みの重要な一例としてパンデミック対策支援を強調した。

米国当局の見解では、南シナ海を攻撃的に軍事化し、新疆ウイグル自治区や香港の自由弾圧を続ける中国は近隣諸国の発展・繁栄に対する継続的な脅威である。

AP通信の報道では、訪中して「米中天津会談」に臨んだウェンディ・シャーマン(Wendy Sherman)米国務副長官は、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒を標的とした人道に対する罪、香港の民主主義弾圧、台湾および南シナ海と東シナ海における攻撃的な行動などを指摘して中国外交部高官等に圧力をかけた。

会談相手の中国の王毅(Wang Yi)外相(外交部長)と謝鋒(Xie Feng)外務次官(外交部副部長)に対して、経済競争は歓迎するものの紛争は望まないという米国の姿勢を説明し、米国との相違を克服して気候変動やコロナ禍といった共通の世界的な課題解決に協力するよう求めたシャーマン国務副長官は、「特定の相違に固執することよりも重要な事柄が存在する。それは世界における大国としての責任を果たすことである」と述べている。

提携の重要性に関しては、2021年7月にアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官が訪印してインド外相のスブラマニヤム・ジャイシャンカル(Subrahmanyam Jaishankar)博士、アジット・ドバル(Ajit Doval)国家安全保障担当補佐官、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相と会談した際にも明白に表明している。

 同会談の主要議題にはパンデミック対策における協力と地域提携体制が含まれていた。オンライン雑誌のザ・ディプロマット(The Diplomat)の報道では、ジャイシャンカル外相は会談前に、今回の会談に至った事実は「両国が利益を共有し同様の懸念を感じ、そして両国の結束が強力であること」を示すものだと述べている。

提携の重要性を強調したブリンケン国務長官は、「パンデミック、気候変動、新興技術の破壊的影響など、その課題の種類を問わず、国民の生活に悪影響を与える大きな問題の中で単独で解決できるものは1つもない。これは米国とインドの関係にも明らかに該当する」と述べている。

(Indo-Pacific Defence Forum)