したたかに 中国共産党とタリバンが「政略結婚」する

2021/08/25
更新: 2021/08/25

中国とタリバンがますます接近している。専門家によれば、中国は8月15日以降、タリバンとの接触を強めており、武装組織による政権承認は目前だ。鉱山権利の入手、米国を排除するための武器支援、中国軍によるムジャーヒディーンへの訓練、資金調達のためのダミー会社の設置など、双方が共有する利点は枚挙にいとまがない。互いの都合に合わせた「政略結婚」に向けて、準備が本格化している。インドの執筆者Venus Upadhayaya氏が報告する。


8月15日にタリバンがカブールを占拠した後、中国共産党は、タリバンとの友好関係の構築を期待していると意思を表明した。タリバン側は、アフガニスタンの発展に中国が関わることに歓迎の意を示している。

タリバンが家宅捜索を行い、ジャーナリストや女性を含む人々を殺害しているとの報道が相次いでいる。大紀元エポック・タイムズは関係者に確認したところによると、タリバンは政権奪取後、知識人やジャーナリストらの自宅を家宅捜索している。

しかし、タリバン報道官は「女性の権利」「メディアの自由」を表面的に肯定した。中国外務省の華春瑩報道官は8月19日の記者会見で「タリバンは過去の歴史を繰り返すことはなく、今はより明確な理性がある」と述べ、タリバン側に寄り添った発言をした。

タリバンが首都を掌握する数日前、カブールを拠点とする情報源は、6月だけで「見知らぬ男」による51件の標的殺害が国内で報告されたと大紀元に語った。

「中国共産党はアメリカと対抗するため、タリバンに国際的な支援を提供し、情報や後方支援も提供しているのだろう。そうすることで、米国に屈辱を与え、同地域における米国の力を衰退させたいと考えている」と、ジャワハルラール・ネルー大学の中国研究を専門とするSrikanth Kondapalli教授は言う。

「短期的には、中国はタリバンがアフガニスタンを制圧し、安定した政府を樹立するのを全面的に支援するだろう」と教授は述べた。中国は自国の軍隊を通じてタリバンとつながっているだけでなく、パキスタンの軍統合情報局(ISI、Inter-Service Intelligence)を通じても連絡を取っているという。

中国共産党とタリバン 「友好」の歴史

中国共産党とタリバンの関係は、1970年代にさかのぼる。中国の軍事情報機関は当時、ソ連のアフガニスタン侵攻で、ムジャヒディン(ジハードを遂行する者)を訓練していた、とKondapalli教授は言う。

「(元PLA副総参謀長)熊光楷によると、何百人もの中国人指導員が、新疆ウイグル自治区をはじめとするアフガニスタンやパキスタンの隣接地域で、ムジャヒディンに訓練や武器(AK47Sやレッドアロー・ミサイル)を提供していた。ソ連崩壊後の数年間、中国はタリバンやアルカイダ、特に911事件以前の(アフガン元首相)ヘクマティアル一派との関係を強化していた」。

2001年10月の英ガーディアン紙の独占報道によれば、中国は数百万ドルをアルカイダに支払って、米軍の巡航ミサイルを入手したという。これらのミサイルは1998年、米軍がビン・ラーディンの施設に打ち込んだ75発のうちの一つだった。

2000年末、国連安全保障理事会は、ビン・ラーディンのテロリスト養成所を閉鎖させるためのタリバン制裁措置を提案したが、中国は投票を棄権した。中国は、米国がアフガニスタンで空爆を開始した直後に、タリバンを支援するために軍人を派遣したと、大紀元評論「悪魔が世界を統治している 第十五章:テロリズムのルーツは共産主義」に書いている。

Kondapalli教授によれば、中国はタリバンとウイグル人をめぐる取引も交わしたという。「中国の駐パキスタン大使は、タリバンの最高指導者であるムラー・オマルに、国連安保理でタリバンを保護する代わりに、ウイグル人を助けないという提案をした」という。さらに、911事件後、中国はタリバンやその支援者であるパキスタンのISIとの関係を続け、タリバンがアフガン政府内で地位を得るべきとの見解を示したという。

また、アジア研究協会(Association for Asia Research)の学会誌に掲載された報告書によると、2004年、中国の諜報機関は、ビン・ラーディンの資金調達やマネーロンダリングを支援するために、世界中の金融市場でダミー会社を利用していたという。

(つづく)


執筆・Venus Upadhayaya 

インドと南アジアの地政学を専門とするライター。情勢不安定なインドとパキスタンの国境などを報告。インドの主要メディアへの寄稿には約10年の経験がある。また、持続可能な開発、リーダーシップなどのテーマについても執筆している。

(翻訳・大紀元日本語編集部)

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。