ウイルス発生源調査、前国務長官顧問マイルズ・ユー氏の「鋭い直感から始まった」=米WSJ

2021/08/27
更新: 2021/08/27

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は24日、米政府による新型コロナウイルス(中共ウイルス)の発生源調査は、トランプ政権で対中政策顧問を務めていた、余茂春(マイルズ・ユー)氏の鋭い直感から始まったと報じた。

余氏は、2020年初めに中国政府が武漢での同ウイルスの大規模感染を認めた直後、渦中の武漢ウイルス研究所の公式ホームページをダウンロードし保存した。同氏は、中国政府が同研究所の敏感な情報の削除を予想したからだという。

同氏は当時、ポンペオ米国務長官の対中政策・計画担当首席顧問を務め、中国で生まれ、文化大革命を生き抜いた学者でもある。

予想が的中したことから、当時のポンペオ国務長官は余氏に、最優先事項として武漢ウイルス研究所を調べることを指示した。同年5月、米国務省軍備管理局が調査をはじめ、諜報部門にも情報提供を求めた。

調査チームは米情報機関の資料から、武漢ウイルス研究所の研究者数人が2019年秋に発病し、症状が中共ウイルスまたは季節性疾患と一致したこと、同研究所は中国軍のために機密研究を行っていることを突き止めた。

同年12月、軍備管理局は「意見書」という外交訴状をまとめた。目的は、武漢ウイルス研究所が生物兵器禁止条約に違反したかどうかを追及し、中国政府に然るべき責任を負わせることだ。

軍備管理局のトーマス・ディナンノ前次官補の話では、意見書は国連安保理または生物兵器禁止条約署名国の会議で発表されるか、中国政府に直接提出される予定だった。

しかし、米政府内部の激しい反対に遭い、後の政権交代もあり、意見書は国連や中国に送ることができなかった。

ポンペオ氏は今年6月、米大紀元時報に対し、1月に「中国科学院武漢ウイルス研究所」に関する「新たな情報がある」とする声明を公表するのも、極めて困難だったと述べた。

同声明は、武漢研究所の複数の研究員が一昨年の秋に、中共ウイルス感染症とよく似た症状になっていた可能性があるとして、武漢入りしている世界保健機関(WHO)の調査チームに対し、中国政府に対応を迫り、徹底した調査を行うよう求めた。

米情報機関がいくつかの重要な証拠の公開に反対していたため、最終的に公表したのは、軍備管理局が入手した非機密情報のみだった。

WSJの報道によると、米情報機関が8月24日にホワイトハウスに提出した最新の評価報告書は、中共ウイルスは研究所流出なのか、自然発生なのかについて、依然として明確な結論を出していないという。

WSJの報道は、「トランプ政権が過去1年間、中国政府に圧力をかけ同ウイルスの発生源に関する情報を引き出そうとした広範な努力は、米政権内部の圧力により失敗に終わった。バイデン政権も同じであろう」と指摘した。

中国政府は7月、ウイルスの発生源の再調査を求めるWHOの提案を拒否した。

(翻訳編集・叶子)