米国のシンクタンクが実施した調査によると、半数以上の米国人が、中国共産党軍の台湾侵攻に対して米軍の派遣を支持していることが分かった。米軍のアフガン撤退表明以降、中国共産党は米国の国際的な優位性を引き下げ、台湾への関与を排除しようとプロパガンダを発信しているが、米世論は真逆の結果を導き出した。米国人はメディア報道などを通じて、台湾の窮状について認識を深めており、中国共産党による台湾への脅迫に嫌悪感を抱いていると専門家は分析している。
シカゴ・カウンシル・オン・グローバル・アフェアーズが8月26日に発表した世論調査によると、回答者の52%が、中国共産党軍の台湾侵攻に対して、米軍を派遣し台湾を防衛することを支持すると答えた。 これは、1982年に同じ質問をして以降、最も高い割合になった。
さらに、この調査では、7割近く(69%)の回答者が、米国が台湾を独立した国家として認め、65%が台湾の国際機関への加盟を、57%が米台自由貿易協定の締結を支持していることもわかった。また、回答者の53%が米台間の正式的な国交を、46%が中国共産党の侵攻に対して台湾防衛を明文で約束するのを支持していることも明らかになった。
「中国の台湾に対する軍事的、外交的圧力は、米メディアでかなり取り上げられている。このため、米国人は台湾の窮状に同情し、台湾の民主主義の強さをより認識している」と、 ドイツ・マーシャル基金のアジアプログラムのディレクターであるボニー・グレイザー氏は、米ボイス・オブ・アメリカに語った。
グレイザー氏によると、米中関係の影響もあるという。 「米中の対立激化に対する全体的な懸念から、台湾に対する意識や将来への不安も高まっている」。
調査によれば、共和党員は民主党員や無党派層よりも台湾の軍事防衛を支持する傾向にある。 台湾防衛のために米軍を派遣することに賛成したのは、共和党では60%、民主党では50%、無党派層では49%だった。
回答者が台湾を支持する大きな要因は中国への不信感だった。61%が中国を競争相手または敵対者と見なしているのに対し、60%が台湾を同盟国または必要なパートナーと見なしている。
この調査は、2021年7月7日から26日にかけて、米国の全50州とコロンビア特別区に住む18歳以上の成人2086人を対象に実施された。
シカゴ・カウンシルは、過去にも同様な調査を実施している。 1982年の調査では、中国共産党の侵攻があった際に台湾防衛に加わることを支持する人は19%に過ぎなかった。 2021年5月の同様の調査では40%だったが、7月には52%にまで上昇した。
米軍がアフガニスタンから撤退を表明してから、中国共産党当局は「今日のアフガニスタンは、明日の台湾」と題した世論工作を広げ、米国の国際的立場の失墜を印象付けようとした。しかし、 米国の世論は中国共産党の思惑を真逆から否定し、中国共産党の脅威に相反して台湾への関心が一層高まっていることを示した。
「両者(アフガニスタンと台湾)を比較できない」とグレイザー氏は言う。 「米国が20年前にアフガニスタンに行ったのは、この国がテロリストが隠れる場所になるのを防ぎ、テロリストが米国を再び攻撃できないようにするためだ」。
「台湾との関係は何十年も前から続いている。 1954年から1979年まで、台湾とは相互防衛条約を結んでいた。 台湾は米国にとって9番目に大きな貿易相手国だ。 1979年以降、私たちは台湾と非常に強い関係を維持している」とグレイザー氏は述べた。
(大紀元日本語編集部)
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