大紀元時報
【エルドリッヂ氏独占インタビュー】

「日本のために死ぬ覚悟はあるか」 元米海兵隊関係者が明かす現場の声

2021年9月15日 06時00分
多国間軍事演習「Talisman Sabre 21」に参加する米海兵隊。この演習には自衛隊も参加した。 (Photo by Ian Hitchcock/Getty Images)
多国間軍事演習「Talisman Sabre 21」に参加する米海兵隊。この演習には自衛隊も参加した。 (Photo by Ian Hitchcock/Getty Images)

 

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米軍のアフガン撤退は、中国共産党に対抗するための戦略転換であるとの見方が示されている。同時に、米軍の駐留や支援は相手国の強固な意志があって初めて成り立つものであるとのメッセージを発信した。安全保障環境が大きく変化するなか、専守防衛を貫く日本には、何ができるのか。憲法上の制約が厳しい日本について、米軍人はどのように思っているのか。あまり語られることがない現場の米軍兵士や指揮官たちのメンタリティーについても話を伺った。


ーー日本憲法的制約により、有事の際の行動が制限されている。この現状において、日本はどのようなことに取り組むべきか。

日本は他国との連携を重視すべきだ。現在、日米豪印の「クアッド」に欧州諸国も連携するようになっており、南西諸島の防衛に関してクアッドや諸外国と連携をすることができるようになった。石垣島に海上自衛隊が寄港することになったが、防衛省は予算がない、兵力がないと言っていたとの話を聞いたことがある。自衛隊の石垣誘致には10年かかるとのことだ。

私はそれほど悠長にしてはいられないと思う。計画の現行案だと2030年までかかる計算になる。例えば、最初の一年間は海上自衛隊が寄港する、二年目は海上自衛隊と米海軍が交代で寄港する。それを2~3年続ける。その後クアッドの各海軍が寄港する。それをさらに2~3年続け、英独蘭などを招待する。このことを防衛省が早く実行に移さないと、眼前の危機に対処できなくなるだろう。

同盟とは、究極には、国家間の関係というより人間関係だ。信頼関係や情報共有、相互運用に至るまで、あらゆる場面で人間がかかわっているので、時間がかかる。政治家同士の信頼関係、首脳同士の関係構築なども調整が必要となる。

駐日米兵の想い… 日本人に覚悟はあるか

ーーお答えできる範囲でお願いしたい。米国海兵隊は沖縄とグアムに駐在しているが、現場の兵士や指揮官は有事の際に日本を守ることをどのように考えているのか。

日本人が日本の領土を守ることはあたりまえだ。米軍は文民統制なので勝手には動けないが、条約上、日本が攻撃されたときに米軍が防衛することになっている。しかし、それは日本が自国の領土を守る意思があるという大前提の上になりたっている。

日米仏の三国合同演習に参加した自衛隊員 (Photo by CHARLY TRIBALLEAU/POOL/AFP via Getty Images)

最終的な判断はアメリカの議会が行う。80年代から90年代にかけて、日本がタダ乗りしていると思われていた。日本がタダ乗りしていると判断されると、米国議会は反発するだろう。

いっぽう、日本側に防衛する意志があれば、米軍と強固に連携することができる。在日米軍や海兵隊は日本に特別な思いがある方も多い。日本のことが大好きで、守りたいと考えている者も多い。私はかつて緊急事態枢要職員(Emergency Essential)という、有事に動員される文官職に就いていたため、有事の際に日本のために死ぬ覚悟があるかどうかを署名させられた。何があっても日本に残る要員だった。

自国のために死ぬ覚悟を持っている日本人はどれだけいるのだろうか。米軍人は全員署名し、文民は特別な者のみ署名する。私は喜んでサインした。私の妻は日本人であり、子供も日本人だ。私は人生の半分以上を日本で過ごした。海兵隊には同じような人が多くいる。もちろん命令だから戦う人もいるが、日本に対する想いから戦うという者もいることは知ってほしい。

ーー米国は日本と条約を締結している。日本の安全保障と密接にかかわる台湾有事の際には、米軍はどう動くのか。

米国と台湾は正式な条約を締結していないため、米軍は台湾を守る義務を負担していない。この点こそ米台関係の弱点だと考えている。その必要性を分かっている人は多くいるが、それを行動として起こす義務は米国にはない。米国は台湾を国家として認めていないため、十分に調整ができていない。

人間関係こそが要であり、接着剤となる。人間関係を強めるためには公式な交流が必須だ。解釈が分かれるが、公式な交流をするためには台湾と正式な国交を結ぶ必要がある。台湾関係法を拡大解釈するなり、新しい法律を作るなりしないといけない。不足部分がまだまだ多い。

国際公共財として、防災拠点を日本からフィリピンまで作ることも一つの対策になるだろう。岩国、鹿屋、奄美大島、普天間、下地島、台北、台南、マニラ、ミンダナオなどに拠点を作り、国際的に利用可能とする。各種NGOやNPOを活動させ、災害救援の拠点とする。私はこれを「ディザスター・ハブ(Disaster hub)」と呼んでいる。数百マイルごとに設置すれば、災害で一つの拠点が破壊されてもほかの拠点が機能を維持できる。日本、台湾、米国、フィリピンはすべて民主国家で、同じ価値観を有する。指令センターや訓練施設、宿舎などを建設すれば、有事の対応も可能になる。

(聞き手・王文亮)


ロバート・D・エルドリッヂ

1968年米国ニュージャージー州生まれ。政治学博士。米リンチバーグ大学卒業後、神戸大学大学院で日米関係史を研究する。大阪大学大学院准教授(公共政策)を経て、在沖アメリカ海兵隊政治顧問としてトモダチ作戦の立案に携わる。著書は『沖縄問題の起源』(名古屋大学出版会、2003年)など多数。

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