ウィキペディア、親中共編集者の利用権限に制限 「意図的な浸透があった」

2021/09/21
更新: 2021/09/21

中国語版ウィキペディアはこのほど、中国大陸の利用者7人のログイン権と、管理者12人の編集権を停止した。情報筋2人が大紀元に対して、これはウィキペディアに浸透し、中国共産党(以下、中共)のプロパガンダを広めている親中共メンバーを排除するための措置だと述べた。

世界中のボランティアが共同で編集しているオンライン百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」を運営する米ウィキメディア財団の法務担当副会長であるマギー・デニス(Maggie Dennis)は、9月13日の声明で、「意図的な浸透行為が確認された」と述べている。

声明によると、今回の決定は、非公認グループ「中国本土ウィキペディアン(WMC)」を徹底的に調査した結果に基づいている。「多くのウィキペディアン(ウィキペディアの執筆者・編集者)がこの浸透によって被害を受けたという事実が確認された」という。

親中共派ユーザー、ウィキぺディアのガイドラインを変更

中国語版ウィキペディアの登録ユーザーである男性は、匿名を条件に大紀元の取材に応じ、WMCのQQ(中国のインターネットサービス大手テンセント社のインスタントメッセンジャー)グループの中心メンバーは、親中共派でウィキペディアでは管理者と上級ユーザーとして活動している」と語った。

男性によると、メンバーの一部は、親中共派メンバーが管理者に選出されるよう、投票の操作など不正行為を行っている。ウィキペディアの管理者は、ボランティアとして参加した登録ユーザーの投票によって選出する。

今年7月、香港民主化運動のデモ隊を「暴徒」と表現することを拒否した香港人編集者が、親中共派メンバーに狙われた。編集者は匿名で活動しているが、親中派の管理者は、「人肉検索」(不正な手段を用いて、匿名のネット利用者の個人情報を調べること)を使って香港人編集者の個人情報を集め、香港警察に通報すると脅した。

別の編集者がこの問題をウィキメディア財団に告発した。2カ月にわたる調査の結果、財団は一部利用者の権限を制限した。

親中共派の編集者は、中国当局が推進する「大外宣(大プロパガンダ)」戦略に沿ってウィキペディアを操作しているという。例えば、民主化運動、法輪功、香港情勢、人権派弁護士などの中国の人権問題に関するエントリーについて、彼らは中国国営メディアのプロパガンダ報道を引用し、ウィキペディア記事を執筆・編集しているという。

大紀元の取材に応じたこの男性は、親中共派の編集者が目的を達成するために「ガイドラインを変更することもある」と述べた。ウィキペディアでは、政治的立場によってタグ付けや識別をしないという明確なガイドラインを設けている。「しかし、親中共派の編集者は関連する言論を抑圧するために、多くのエントリーに親トランプ、右翼、陰謀論などのラベルをつけた」

親中共派メンバー、メディアの信頼度評価を操作

男性によると、親中共派の編集者はメディアの信頼度を意のままに操作している。香港で民主派を支持するウェブメディア「立場新聞」は香港人編集者が受けた脅迫を報じた直後、親中共派メンバーは立場新聞の信頼度をレベル4から3以下に下げようとしたという。

親中共派の編集者はまた、独立系メディアと中共の官製メディアを扱う際に、二重の評価基準を採用している。人民日報が架空の「スイスの生物学者」を捏造したにもかかわらず、「人民日報」は信頼できるメディアだと主張している。一方、大紀元など中国当局に不都合な報道を行うメディアには否定的なレッテルを貼り、その信頼度をレベル2以下に下げようとしている。

ウィキペディアの反撃が、親中共派勢力を揺さぶる

WMCの内部事情に詳しい情報筋は、大紀元に対し、「ウィキメディア財団が共産党の浸透を止めなければ、中国語版ウィキペディアはすぐに中国のオンライン百科事典『百度百科』になってしまうだろう」と語った。

この情報筋は、ウィキメディア財団は問題の深刻さを認識しており、親中共派勢力を一掃するための行動を継続していくだろうとしている。

米サンフランシスコに本拠を置くウィキペディアは、世界最大かつ最も人気のある多言語インターネット百科事典。中国政府は2004年からウィキペディアをブロックしているが、一部の中国本土の管理者と編集者は今でも活動している。彼らはグループ「中国本土ウィキペディアン(WMC)」を結成し、約300人のメンバーがいる。

中国では、ネット封鎖を破って外国のウェブサイトに接続することは違法であり、厳しく取り締まられている。だが、中国当局はWMCの活動を見て見ぬふりをしている。

(翻訳編集・王君宜)