海上自衛隊のヘリ搭載護衛艦、ドイツ海軍と共同訓練 「国際社会の平和と安定に寄与」

2021/09/28
更新: 2021/09/28

9月24日、海上自衛隊ヘリコプター搭載護衛艦「かが」及び護衛艦「むらさめ」は、インド洋東部海域で、ドイツ海軍フリゲート(※1)「バイエルン」と日独共同訓練を実施した。「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、連携強化を図った。

訓練では、独海軍の「バイエルン」に搭載されているヘリコプター「リンクス(Lynx、オオヤマネコの意)」が海上自衛隊の護衛艦「かが」に着艦する訓練などが行われた。

護衛艦「かが」の甲板に着艦する「リンクス」(自衛艦隊公式ホームページより)

自衛艦隊の公式サイトによると、訓練の目的は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて友好国との協力関係を促進し、インド太平洋地域の平和と安定に寄与することだ。

指揮官の池内出・海将補は共同訓練について、「欧州主要国であるドイツとの関係強化は国際社会の平和と安定に寄与するものであり、本訓練によって戦術技量の向上及び独海軍との連携の強化を図ることができました」と述べた。

昨年12月、岸信夫防衛相はドイツのアネグレット・クランプ・カレンバウアー防衛相とのオンライン会談で、ドイツ軍が向こう1年の間に、東アジアに軍艦を派遣して、自衛隊との合同演習を実現するよう希望を伝えた。  

東京国際大学の宮下明聡教授はドイチェ・ベレの取材に対して、日本がドイツのインド太平洋地域の関与を呼びかけるのは、中国の拡張主義や野心に対抗するべく、地域の同盟的な関係を構築するためだと述べた。「ドイツの軍艦が極東に存在するだけで、北京に明確なメッセージを送ることができる」と付け加えた。

ドイツ政府は昨年、インド太平洋地域での外交や安全保障などの指針をまとめた文書を発表し、地域の地政学的な重要度の高まりを明言。これまで中国偏重だったアジア外交を多角化させ、日本やオーストラリアなどとの関係を強化する方針を打ち出した。

「バイエルン」は8月上旬にドイツを出港し、中国・上海への寄港を希望していたが、中国側が拒否した。今後はオーストラリアやグアムを経由し、11月頃に日本に来航する予定だ。

(王文亮)


※1 フリゲート

フリゲートは駆逐艦より小さくコルベットより大きい護衛用の艦船を指すことが多いが、各国で基準が異なる。海上自衛隊も駆逐艦に相当する艦船とそれよりも小さい艦船とを呼称で区別しており、「DD(Destroyer、駆逐艦)」と「DE(Destroyer Escort、護衛駆逐艦)」が存在する。「DD」は「むらさめ型」や「あさひ型」、「DE」は「あぶくま型」などが該当する。

なお、「かが」などは「DDH(Helicopter Destroyer、ヘリコプター搭載護衛艦)」に分類され、他の艦船と区別されている。