与党自民党は12日、衆院選(19日公示、31日投開票)の政権公約を発表した。安全保障や外交に関する要点を以下に抜粋した。
外交 自由、民主主義、人権、法の支配などの普遍的価値を守り抜き、国際秩序の安定、強化に貢献するため、自由で開かれたインド太平洋の一層の推進等に向けて、日米同盟を基軸に、オーストラリア、インド、ASEAN、欧州、台湾など普遍的価値を共有するパートナーとの連携を強化する。台湾のTPP加盟及びWTO総会のオブザーバー参加を歓迎する。
北朝鮮による拉致問題の早期解決は最重要課題。制裁措置の厳格な実施など、国際社会と結束して圧力を最大限に高め、あらゆる手段で全力を尽くし、拉致被害者全員の即時一括帰国を実現する。政情不安定に陥った国・地域での在留邦人保護にも万全を期す。
中国による軍事力増強や一方的な現状変更の試みのほか、人権侵害、香港、経済をめぐる諸問題、韓国による国際法違反の状態や歴史認識をめぐるいわれなき非難など、わが国の主権や名誉、国民の生命・安全・財産に関わる課題に冷静かつ毅然とした対応をとる。
国益に即したODAを質・量両面で拡充し、民間投資との連携により、日本企業の海外進出を一層後押しする。脱炭素化など世界の環境改善、防災、教育、貧困撲滅など、SDGs達成への取り組みを加速する。
自由貿易を発展させ、グローバルなルール形成を牽引する。経済連携協定、投資協定・租税条約の締結により力強い経済成長を達成する。中小企業を含む日本企業及び地方自治体の海外展開を後押しする。
積極的な議員外交と合わせて、業務のデジタル化を含め、外交実施体制を欧米諸国並みに充実させる。わが国の安全に関わる情報の収集、分析、共有体制をいっそう強化する。
司法外交を通じて法の支配に基づく国際秩序を形成するとともに国際機関や各国との連携を強化し、わが国の企業・ 人材の海外進出を促進する。
中国の急激な軍拡や、尖閣諸島、台湾周辺等における軍事活動の急速な活発化、力を背景とした一方的な現状変更の試み、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展、最先端技術を駆使した“戦い方”の変化など安全保障環境が激変しており、その対応を抜本的に見直す。
いかなる事態にあっても、国民の命や平和な暮らし、領土・領海・領空を断固守り抜くとともに、宇宙、サイバー、電磁波等の新領域における体制強化などの取り組みをこれまで以上に加速化する必要があり、令和4年度から防衛力を大幅に強化する。
防衛力を大幅に強化すべく、安全保障や防衛のあるべき姿を取りまとめ、新たな国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画等を速やかに策定する。NATO諸国の国防予算の対GDP比目標(2%以上)も念頭に、防衛関係費の増額を目指す。
周辺国の軍事力の高度化に対応し、重大かつ差し迫った脅威や不測の事態に対処するため、わが国の弾道ミサイル等への対処能力を進化させるとともに、相手領域内で弾道ミサイルなどを阻止する能力の保有を含めて、抑止力を向上させるための新たな取り組みを進める。
わが国の領域侵害に対して政府機関が十分に対処できるよう、法整備も含め、速やかに必要な措置を講じる。本格的な侵略事態のみならず、ハイブリッド戦や様々な複合事態に対しても、装備や法律上の権限などを十分に付与して、万全の備えを図る。
AI、極超音速などのゲームチェンジャー技術や次期戦闘機などの開発研究を強化、加速化し、先進的技術の活用推進により技術的優越を確保するとともに、防衛技術、産業基盤を強化する。このため大幅な予算増と抜本的な体制強化を実施する。 わが国自身の防衛力強化などを通じて、日米同盟の抑止力・対処力を強化する。また友好国との協力を強化し、国際社会の平和と安定の確保にも引き続き積極的に貢献する。
隊員の募集体制を強化するとともに、自衛隊員が高い士気と誇りを持って、国防の任を担うことができるよう、働き方改革や女性隊員の活躍の一層の推進、名誉や処遇の向上等を通じて、人的基盤を強化する。
重要土地等調査法に基づいて、防衛施設等の重要施設や国境離島などの機能を阻害する土地等の利用の防止を確実に図る。2022年9月の施行に向け基本計画と政省令整備を進め、制度の実効性を高める。
(佐渡道世)
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