国際 【米国思想リーダー】

「救世主」を模して人々を騙すポピュリスト=活動家アントネラ・マーティさんインタビュー(3/3)

2021/10/24
更新: 2021/10/24

コロナ禍を迎えている現在の世界は、権威主義体制にとって権力を強める絶好の機会となっている。 多くの国では自由度が押し下げられている。マーティさんによれば、ラテンアメリカではこの権威主義体制を維持するため、それぞれが「協力しあっている」と指摘する。

アルゼンチンのクリスティーナ・キルチネル氏、ベネズエラのウゴ・チャベス氏、ブラジルのルーラ・ダ・シルヴァ氏やジルマ・ルセフ氏、チリのミシェル・バチェレ氏などのポピュリストたちは連合を組み、麻薬密売やマネーロンダリングにも関与しているという。さらに、マーティさんによれば、この腐敗はキューバから始まったという。

フィデル・カストロ氏にとって、ベネズエラは宝でした。彼はそこに石油があることを知っていたのです。ソ連が崩壊し、ラテンアメリカから姿を消すと、彼はどこか別の場所から、お金を調達する必要がありました。共産主義は生産しないため、富も築けないのです。

マーティさんによると、カストロ氏はウゴ・チャベス氏が完璧な「救世主」を演じられるよう訓練したという。更に、ラテンアメリカ史上最も腐敗した政治家の1人、ブラジルのルーラ・ダ・シルヴァ元大統領とも協力した。カストロ氏とルーラ・ダ・シルバ氏は、サンパウロ・フォーラムと呼ばれる、ラテンアメリカの共産主義者や、社会主義者の政党を集めた運動を起こした。共産主義や社会主義を推進し、赤化と統一を目的とする同盟だ。

偶然ではありません。フィデル・カストロ氏の戦略です。彼はキューバだけでなく、ラテンアメリカ全域を支配したかったのです。チェ・ゲバラと同じです。彼らはラテンアメリカの他の地域を欲しがっていたのです。

いっぽう、ベネズエラはどうか。イラン、ロシア、中国とも密接な関係があり、イスラムのテロリストの支援も受けている。ヒズボラやハマス、コロンビアのマルクス主義ゲリラ(ELNやFARC)とも繋がっていると、マーティさんは指摘する。

マーティさんは、今日の技術や医療の発展は、すべて自由な世界から誕生したイノベーションであると考えている。いっぽう、ベネズエラやキューバ、旧ソ連や北朝鮮からは何も生まれていない。

優秀な人がいないからではありません。優秀な人たちが食料配給の列に並んでいたり、病気で死んでいるからです。共産主義は気力を破壊します。人間の最も重要な本質、つまり自由を破壊するのです。
 
ラテンアメリカの多くの政府は中国と協力関係を結んでいる。アルゼンチンは中国とロシアからしかワクチンを受け取っていない。同国アルベルト・フェルナンデス政権は、ファイザー社からの呼びかけを拒否した。

中国は自由な社会ではなく、政党も1つしかありません。キューバと同じく、1つの政党しかなければ、選挙もありません。また経済的自由度の指標を見ても自由ではありません。中国は世界で最も自由がない国のひとつです。共産党がすべてをコントロールしています。私はよく北朝鮮から脱出した、パク・ヨンミさんを思い出します。彼女は「独裁者は自分の心を読むことができると思っていた」と言いました。そんなことが想像できますか? 自分が何を考えるのかさえ、自由ではないのです。

アルゼンチンには法輪功の友人がたくさんいます。中国政権から迫害されていることも知っています。政府の決定により、彼らは信仰の自由を奪われました。政府や政権にとって「正しくない」と決めつけられたからです。

ラテンアメリカでは自由を渇望する人々を含め、中国とのビジネス関係を望む人が多いという。マーティさんは中国の人々がさらされている現実を想うと、辛いことだと述べた。

人々は中国で何が起こっているのかを知らないのです。北朝鮮やキューバで何が起こっているのかも知らないのです。これらの政権は、表現の自由を抑圧しています。

こうした権威主義体制にとって、自由社会は何をすべきか。介入するべきだろうか。マーティさんは、外部介入は解決策には繋がらないと考えている。 

ラテンアメリカでは、何度も(介入による解決)を試みました。結果はどうでしょうか。私たちは今、介入によって起きた結果の代償を払っています。

マーティさんによれば、解決策は国の内部にあるとみている。

例えば多くのシンクタンク、市民社会、メディアがあります。自由な社会、開かれた社会、自由な市場の重要性を推進し、皆に伝える必要があります。そして個人個人が行動し、働き、創造すれば、素晴らしい結果が得られます。自分らしく生きることが重要です。

(おわり)

米国思想リーダー「Antonella Marty: How Socialist, Communist Ideology Took Over Cuba, Latin America」より

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。