アメリカ国務省で中国や台湾の政策を担当するリック・ウォーターズ国務次官補代理は21日、台湾の国際組織参与に関するオンライン討論会に参加した。中国政府が国連における中国の代表権を有するとした50年前の国連決議を乱用し、台湾当局の国際社会での活動を妨げていると強く批判した。
シンクタンクのジャーマン・マーシャル基金が主催する討論会で、ウォーターズ氏は、「中国政府は決議を乱用し、台湾当局による国連の活動への意義ある参加を妨げている。国連加盟国が台湾から重要な貢献を得られないようにしている」と非難した。また、台湾が国連の活動に参加できるよう、加盟国が台湾を支援するよう求めた。
台湾は、5月に開催された世界保健機関(WHO)の年次総会にオブザーバー資格での参加を求めたが、中国の反対により却下された。また、年間5000万人の旅客が空港を利用しているにもかかわらず、国際民間航空機関(ICAO)の総会の参加にも拒否されている。
ウォーターズ氏は、台湾の保健当局が中共ウイルスの大流行にうまく対処したと称賛し、台湾の知識を広く共有すべきだとの見解を示した。
1971年の国連総会で、共産党政権の中華人民共和国が「国連における唯一の中国代表」としての権利を持つと定める2758号決議(通称・アルバニア決議)が賛成多数で可決した。
中台関係に詳しい米シートンホール大学の法学教授マーガレット・ルイス氏は、この決議は今日、中国により台湾排斥の理由付けにされていると、日経アジアレビューの取材で指摘している。しかし、決議で定めた文言や国連の精神では、2300万人もの人口を抱える台湾の排除を定めているわけではないと強調した。
アルバニア決議は冒頭で、人権と価値の尊重の努力を誓う「国連憲章の原則」に基づくとしたうえで、「蔣介石の代表を、彼らが国連とすべての関連組織において不法に占領する場所からただちに追放することを決定する」としている。
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