岸田首相、ASEAN首脳会議に出席 海洋秩序の挑戦に「強く反対する」

2021/10/28
更新: 2021/10/28

岸田文雄首相は27日午前、テレビ会議形式で第24回日ASEAN首脳会議に出席した。クローズド・セッションでは、中国を念頭に東・南シナ海における海洋秩序に対する挑戦に触れ、深刻な懸念をASEAN諸国と共有した。

首相は、インド太平洋は「自由で開かれた平和な海」とすることが、関係諸国の共通の利益であると述べた。また、東・南シナ海で威圧的な行動を続ける中国を念頭に、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序に対する挑戦について、深刻な懸念を共有し、強く反対すると述べた。

日本や東南アジアは中国共産党政権の拡張主義による圧力を被っている。アジアの民主主義の大国として各国と連帯を強め、一方的な現状変更の試みを継続する中国に対処する狙いがある。

外務省によると、各国からも南シナ海の航行・上空飛行の自由の重要性、国連海洋法条約を始めとする国際法に沿った紛争の平和的解決について意見が出された。

このほか、北朝鮮について、北朝鮮の全ての大量破壊兵器、弾道ミサイルのCVID(完全で検証可能な、かつ不可逆的な非核化)の実現に向けた安保理決議の履行が必須だと述べた。拉致問題の即時解決に向け、各国の引き続きの理解と協力を求めた。外務省によれば、これらの問題解決に支持が得られたとしている。

岸田首相はこのほか、ASEANに対する日本の新型コロナ対策支援として、コールド・チェーン整備を含む計約320億円の無償資金協力、約1950億円の無利子に近い財政支援円借款を実施していることを紹介した。

日ASEAN友好協力50周年となる2023年には、日本で特別首脳会議が開催される見通しだ。

ASEANは、インド太平洋諸国の主要国を交えた「東アジアサミットEAS)」を26日から27日まで開催。別途、ASEANは、日本のほか中国、ロシア、インド、オーストラリア、韓国との首脳会合を開催した。

韓国青瓦台によれば、ASEANと日中韓首脳サミット「ASEAN+3」では、感染症ウイルス危機対応や気候変動のほか、朝鮮半島情勢についても意見交換が行われた。

27日には、米国ASEANサミットが2017年以来4年ぶりに開かれた。中国による政治的・経済的影響力がますます強くなる東アジア地域で、米国は存在感を示そうとしている。

米国は、インド太平洋地域における地域戦略的パートナーシップを拡大するために、最大で1億200万ドル(約116億円)のASEANへの支援計画を発表した。バイデン大統領は双方の関係について「自由で開かれたインド太平洋を維持するために不可欠だ」と述べた。計画は経済、教育プログラム、中共ウイルス感染症関連のプロジェクトにあてられる。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。
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