萩生田光一経済産業相は日本時間の5日、米レモンド商務長官と電話会談し、鉄鋼とアルミニウムの輸入に対する追加関税問題の解決を強く求めた。米国はすでにEUとの間で一部撤廃の合意に達しており、来年1月より開始する。レモンド長官は記者会見で、「関税を撤廃したい」と述べ、問題解決に意欲を示した。
鉄鋼・アルミニウムの輸入に対する追加関税は米通商拡大法232条に基づき、トランプ前政権が安全保障上の政策として2018年3月以降に始めたもの。日本、中国、EUからの鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税を上乗せした。中国の過剰生産を念頭にしている。
米国とEUは10月末、バイデン大統領の欧州訪問中に共同声明を発表し、鉄鋼・アルミニウムの輸入に対する追加関税について、一定数量まで追加関税を課さないとする関税割当を導入することで合意した。EUも米国からの輸入に対して課していた報復関税を停止する。開始は2022年1月1日を予定している。
レモンド長官は現地時間4日の記者会見で、鉄鋼・アルミ製品への追加関税について質問された際、EUとの合意と同じようなものを日本とまとめることに前向きな姿勢を示した。また、同盟国の日本との間の関税問題を解決したいと述べた。
米商務省は10月31日に発表した声明のなかで、日本との協議について「世界の鉄鋼およびアルミニウム市場における生産過剰の影響や、問題の根本的原因に対処するために志を同じくする国々が集団行動をとることの必要性」等に焦点を当てるとの考えを示した。
声明は、「米国は、民主主義の価値観を共有する同盟国である日本とともに、産業や労働者を支援しつつ、21世紀の課題に取り組む」「米国は、日本およびその他のパートナーと協力して、市場における方向性を回復する」と付け加えた。
萩生田経産相は日本時間の4日、米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表とのテレビ会談でも対日関税の解決を求めた。その中で、鉄鋼・アルミの関税問題の解決のほか、インド太平洋地域における自由で公正な経済秩序の実現に向けた両国の一層のコミットメントを確認した。また、市場歪曲的措置への対処における日米の協力について意見交換を行った。
キャサリン・タイ代表は11月15日に訪日する予定。その際、追加関税に関する協議が行われる可能性がある。
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